1997 Fiscal Year Annual Research Report
有機パラジウム錯体によるC-H結合切断を鍵とする新しい触媒的C-C結合生成反応
Project/Area Number |
09238228
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三浦 雅博 大阪大学, 工学部, 助教授 (20183626)
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Keywords | パラジウム / 芳香族化合物 / フェノール / アルデヒド / アルケン |
Research Abstract |
本研究は、筆者らのこれまでの研究成果を基に、二価パラジウム種によるC-H結合切断を鍵とする新規な触媒的C-C結合生成反応の開発をねらいとする。すなわち反応出発物質として入手の容易な有機ハロゲン化物を用い、芳香族化合物や芳香族アルデヒドとの触媒的直接カップリングを行おうとするものである。このような反応が効率よく生起できれば、遷移金属錯体触媒C-Cカップリング反応に新たな道を提供できるものと期待される。 本年度の研究においては、フェノール性水酸基を有するいくつかの芳香族基質(2-フェニルフェノールや1-ナフトールあるいは2-ヒドロキシベンツアルデヒド)が水酸基に隣接するC-H結合の切断を伴って極めて効率よく種々芳香族ハロゲン化物と反応し、対応するC-Cカップリング生成物を位置選択的かつ高収率で与えることがわかった。なお、反応が効率的に進行するためには、配位子の有無および反応により副生する酸の捕捉に用いる塩基の選択が極めて重要であることを見い出している。一方、2-チオフェンカルボアルデヒドの反応では、アルデヒドおよび芳香族核の両者のC-H結合の切断が可能であるが、後者が優先した生成物を与えた。これをを基にした検討の結果、窒素を含むいくつかの5員環複素芳香族化合物も効率よく同様の反応を受けることがわかった。さらに、銅助触媒存在下、空気を酸化剤に用いるとフェノール類が位置選択的なC-H結合の切断を伴ってアルケンと酸化カップリングすること見い出した。この反応ではフェノール性基質が先にパラジウム触媒と反応し、2価の有機パラジウム中間体を形成し、その後アルケンと反応するものと考えられる。
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[Publications] 三浦雅博: "Palladium-Catalyzed,Oxidative Cross-Coupling of 2-Phenylphenols with Alkenes" Chem.Lett.1103-1104 (1997)
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[Publications] 三浦雅博: "Palladium-Catalyzed Arylation of Azole Compounds with Aryl Halides in the Presenu of Alkali Metal Carbonates" Bull.Chem.Soc.Jpn.71. 467-473 (1998)