1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09238246
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
松村 功啓 長崎大学, 薬学部, 教授 (60026309)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真木 俊英 長崎大学, 薬学部, 助手 (10291535)
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Keywords | 電極酸化 / ホフマン転位 / エポキシアルコール / 1、2-ジオール / ケトアルコール / 有機スズ / メディエーター |
Research Abstract |
原子間結合形成の理想的手法と言える電極反応法の解決すべき問題点の一つは、反応メディアにある。電極酸化では、溶媒自体は酸化されず、反応で生じる電子不足活性種を効率良く捕捉するメディア系を見いだす必要があった。この問題を解決すべく研究を行い、本年度研究で以下の成果を得た。(1) 電解ホフマン転位:アミドから一個炭素を減じたカルバメートを調製するホフマン転位反応は、従来、強塩基性で行われており、そのため塩基性条件に弱い官能基を持つ基質には適用できなかった。本研究で、臭化物イオンをメディエーターとすることにより、ホフマン転位が中性条件下で進み、さらに、トリフルオロエタノールを溶媒添加物とすれば、より効率的にこの転位反応が進行することを見いだした。本メディア系では、塩基性では不安定なエポキシアルコールをカルバメートのエステルアルコール残基とすることが可能であり、また、エポキシ基を持つアミドでもエポキシ基の開環を伴わずに目的のホフマン転移生成物が得ることができた。(2) 1、2-ジオールの選択的酸化:有機スズと臭化物イオンとをメディエーターとするダブルメディエーター系で1、2-ジオール類が選択的に電極酸化され、対応するケトアルコールが生成することを見いだした。本酸化反応は、有機スズあるいは臭化物イオンの両者あるいはどちらかが無い系では進まなかった。このタイプの酸化反応は、大過剰の有機スズと過剰の臭素を用いれば起こることが従来知られていたが、詳細な研究は少なかった。本研究で、触媒量の有機スズ、臭化物イオンおよび電気により、この形式の酸化反応が可能となった。有機スズ化合物としては、ジブチルチンオキシド、ジメチルチンジクロリドが良いこと、環状および非環状1、2-ジオールに一般的に適用できることが分かった。
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[Publications] Y.Matsumura: "Electrochemically Induced Hofmann Rearrangement" Tetrahedron Letters. 38(51). 8879-8882 (1997)
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[Publications] T.Maki: "Selective Oxidation of 1,2-Diols by Electrochemical Method Using Organotin Compound and Bromide Ion as Mediators" Tetrahedron Letters. 39(in press). (1998)