1997 Fiscal Year Annual Research Report
アルケンのヒドロホルミル化による精密有機合成の開発
Project/Area Number |
09238258
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
山本 經二 山口東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (80025999)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川波 由紀夫 山口東京理科大学, 基礎工学部, 助手 (50289302)
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Keywords | ヒドロホルミル化 / 基質選択性 / ジアステレオ選択性 / 分子内アルドール反応 / 分子内交叉アルドール反応 / α,ω-エナミノアルケン |
Research Abstract |
ヒドロホルミル化(オキソ法)を精密有機合成に利用した例は殆どない.これは最近の触媒的不斉誘導の成功のほかは,本反応の基質,位置および立体選択性が概して乏しい点を改善する研究が充分でないためである.本課題では,ヒドロホルミル化に内在する有機合成上の有用性に着目し,ジアステレオ選択的なヒドロホルミル化の研究を行った.まず,1,1-二置換型のアリルアルコール誘導体に対するRh(I)触媒によるヒドロホルミル化で,基質の触媒への水酸基配向効果によらない、従来にないジアステレオ選択性でγ-ヒドロキシアルデヒドが生じることを見出している.この成果はわれわれが最初に報告したが,同様の基質に着目し,基質制御によるジアステレオ選択性の異なる研究が,最近BreitおよびLeightonによって報告されている. α,ω-ジアルデヒドの分子内アルドール反応はその位置選択の制御が難しい.そこで,分子内にエノール等価体を有するアルケンを合成し,ヒドロホルミル化をこのアルケン部分で選択的に進めれば,これはジアルデヒドの位置選択的なエノール化体を得ることであり,続く分子内アルドール反応によって,新たな環境造骨格合成への展開が期待できる.すなわち,通常の炭素-炭素結合生成反応において求核反応性が高いエノールを生成させるには,反応活性なアルデヒド基は共存できないが,このように″ホルミル基のアルケンによるマスク″の概念を用いることにより解決し,新たな分子内交叉アルドール反応を開発することが可能である.未だ発表する段階にないが,α,ω-エナミノアルケン類のRh(I)触媒ヒドロホルミル化が効率よく進行することを見いだしている.
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[Publications] 江幡 敏: "Rhodium(I)-Catalyzed Hydroformylation of Certain Alkenes Using Diphosphine,Diphopsphinite,and Diphosphite Ligands with a Wide Bite Angle" Bull.Chem.Soc.Jpn.,. 71. (1998)