1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09239204
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
佐藤 瀏 岩手大学, 工学部, 教授 (00003872)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 毅 岩手大学, 工学部, 助手 (70241784)
小川 智 岩手大学, 工学部, 助教授 (70224102)
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Keywords | カルコゲン原子 / 反応場 / ベンゾポリカルコゲニド / ベンゾトリカルコゲネピン / ベンゾペンタチエピン / 不斉場 / 立体配座変換 / 硫黄原子 |
Research Abstract |
多数のカルコゲン原子が集積するときに創出される立体化学的な空間を反応場として利用することを目的として、本年度はいくつかの硫黄-硫黄及び硫黄-セレン結合を環内に有するベンゾポリカルコゲニド類の化学的性質の解明を実施した。 (1)ベンゼン環に3個のカルコゲン原子を含む8員環が接合した化合物の合成とその化学的性質の解明 環状ポリカルコゲニド類の合成において硫黄及びセレンを任意の位置に導入する方法はまだ確立されていない。本研究ではカルコゲン原子-炭素-炭素-カルコゲン原子-カルコゲン原子という配列を有するベンゾトリカルコゲネピンの合成を検討した。ベンゼンジカルコゲナスタノール類とチイランの塩基性条件下の反応で2位及び5位に硫黄又はセレン原子が導入された新しいベンゾトリカルコゲネピンが合成された。 (2)ベンゾペンタチエピン環の動力学的な挙動の解明 ベンゼン環に5個の硫黄が環状に接合したベンゾペンタチエピンの動力学的な性質は全く解明されていない。本研究ではペンタチエピン環の挙動を核磁気共鳴スペクトル法によってはじめて観察することに成功した。その結果ペンタチエピン環は室温では非常に遅い立体配座変換が行われることがわかった。この結果は環状ポリスルフィド類の不斉場の創出を意味するもので極めて重要な意義を持つものである。 以上のように多数のカルコゲン原子が集積したベンゾポリカルコゲニド類の新しい合成法の確立そしてこれらの化合物が創出する新しい反応場について検討した結果、新しい化合物群の生成そして環状に結合した硫黄原子の運動論に基づく新しい反応場を設計することが出来た。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Satoshi Ogawa Ryu Sato: "New Sulfur-Carbon Displacement Reaction and Systematic Desulfurization in Multi-Sulfur Linkages of Benzopentathiepin." Heterocyles,. 44(1). 187-196 (1997)
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[Publications] Takeshi Kimura Ryu Sato: "Preparation and Conformational Analysis of 6,10-Disubstituted [1,2,3] Trithiolo-[h]-benzopentathiepin Monooxides." Tetrahedron Lett.38(6). 1607-1610 (1997)
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[Publications] Hiroshi Suzuki Ryu Sato: "Crystal Habit of a Novel Host-Guest Complex Composed of 1,1,2,2-Tetrakis(4-hydroxyphenyl)ethane and 5-Chloro-2-methyl 4-isothiazolin-3-one." Tetrahedron Lett.38(8). 4563-4566 (1997)
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[Publications] Ryu Sato: "Syntheses of 1,2,5-Benzotrichalcogenepins. Reactions of 1,3,2-Benzodi-chalcogenastannoles with Thiirans." Tetrahedron Lett.38(9). 5821-5824 (1997)