1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09239207
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
友田 修司 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (30092282)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩岡 道夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (30221097)
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Keywords | 水素結合 / 微弱相互作用 / 有機セレン化合物 / 軌道相互作用 / 静電相互作用 / NBO解析 |
Research Abstract |
平成9年度は高周期ヘテロ元素が関与する弱い相互作用機構の解明を中心に研究を進めた. セレン原子を含む12個のモデル化合物の合成を完成または開始した.うち,2個については予備的な実験結果を既に報告したが,関連化合物の合成と高精度のセレン基底関数を用いた理論解析を行った.その他の系については合成を継続中かまたは相互作用機構を検討中である.Se...H-Cの微弱相互作用については,NMRのスピン結合定数の測定により共有結合性を直接評価するため同位体標識化合物を合成し,赤外線吸収スペクトルでC-H伸縮振動の解析をした結果,軌道相互作用が主な引力であることが強く示唆された.X...H-O水素結合(X=O,S,Se)については赤外線吸収スペクトルによりセレン原子の場合でもSe...H-O水素結合があることを確認した.これらの化合物の場合,OH伸縮振動数がO,S,Seの方向で大きく低波数にシフトするが,水素結合の強さがこの順序であるかどうかを振動計算で確認したところ意外にも逆であった.一般にOH伸縮振動数が低波数にシフトすると水素結合が強くなると言われているがこの点を確認できたことは非常に重要である.これらの水素結合はセレンの電気陰性度が炭素とほぼ同じなので静電相互作用によるものではない.また,Se...O,Se...Fについては静電相互作用の寄与が大きいと予想されるのでモデル系として興味深い.Se...F相互作用についてはNMRの直接スピン結合定数の精密測定とNBO解析でその作用機構を検討したところ,軌道相互作用が支配的であることがわかった.Se...Oの相互作用のNBO解析計算も終了した.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] S.Tomoda: "Origin of π-Facial Stereoselectivity of Cyclohexanone Reduction" Tetrahedron. 53・27. 9057-9066 (1997)
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[Publications] T.Senju: "Quantitative Analysis of Cieplak vs.Felkin-Anh Effects in Hydride Reduction of Cyclohexanone" Chem.Lett. 1997・5. 431-432 (1997)
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[Publications] T.Yamamoto: "On the Origin of cis-Effect in 1,2-Difluoroethene" Chem.Lett. 1997・9. 1069-1070 (1997)
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[Publications] K.Fujita: "Design of Optically Active Selenium Reagents Having a Chiral Amine Group and its Application to Asymmetric Symthesis" Tetrahedron. 53. 2029-2048 (1997)