1997 Fiscal Year Annual Research Report
シアリルルイス糖鎖及びアナログの微生物プロセスによる生産
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09240216
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
飯島 信司 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (00168056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 克英 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (90252254)
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Keywords | シアリルルイス糖鎖 / ガン転移 / セレクチン / 血管内皮細胞 / シアリルラクトサミン / 乳酸棹菌 |
Research Abstract |
シアリルルイス糖鎖は、ガン転移や免疫反応に深く関わっていることが知られている。本研究では、ある種のB群溶血性連鎖球菌Streptococcus agalactiaeがシアリルルイス糖鎖のアナログであるシアリルラクトサミンのポリマーを細胞外多糖として生産することに着目し、遺伝子工学的手法を用いてシアリルルイス糖鎖やアナログを生産することを目的とした。 B群溶血性連鎖球菌由来のきょう膜多糖が実際にガン細胞と血管内皮細胞の間の接着を阻害するかどうかを確認するために、この多糖を1lの培養上清からエタノール沈殿、ゲルろ過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーを経て精製し、最終標品0.5mgを得た。この多糖は分子量約500kDaを示し、1分子当たりシアリルラクトサミン側鎖を少なくとも400残基含むことが推定された。 試験管内におけるガン細胞と血管内皮細胞の接着阻害を調べるためにヒト由来の血管内皮細胞をシャーレ-面に培養し、これにインターロイキン-1βを加えてセレクチンの発現を誘導した。そこに転移性の大腸ガン細胞Colo201及び白血病細胞HL60を放射性メチオニンで標識した後加えて接着させた。洗浄後、残った放射能を測定してこれを接着活性とした。インターロイキン-1βを加え、セレクチンを発現させたものでは顕著な接着活性を示すが、加えないものでは全く接着が起こらなかった。またこの多糖を加えると顕著に細胞の接着が阻害された。一方この微生物多糖の生産を効率化するため、S.agalactiae Ia株より多糖の生合成に必要な酵素遺伝子の一部をクローン化し塩基配列を決定した。ホモロジー検索より、このDNA断片には3個の糖転移酵素が含まれると思われる。現在、生合成系遺伝子全体をクローン化することを試みている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Katsuhide Miyake,Shin Yamamoto and Shinji Iijima: "Blocking adhesion of cancer cells to endothelial cell types by S.agalactiae type-specific polysaccharides" Cytotechnology. 22. 205-209 (1996)
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[Publications] 三宅克英,山本伸,川瀬優治,川瀬三雄,飯島信司: "細菌表面多糖が示すガン細胞接着阻害活性" 化学工学. 60・11. 832-833 (1996)