1997 Fiscal Year Annual Research Report
細胞間接着における糖質-糖質間相互作用の役割と分子機構の解明
Project/Area Number |
09240219
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北島 健 名古屋大学, 農学部, 助教授 (80192558)
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Keywords | 糖質-糖質間相互作用 / リポソーム / ガングリオシド / シアル酸 / デアミノノイラミン酸 / 卵-精子相互作用 / 細胞間接着 / 受精 |
Research Abstract |
糖鎖-糖鎖間相互作用は新しい細胞間接着分子機構として注目されているが、それが関与する生物学的現象は数例知られるのみである。最近,我々は新しい糖鎖-糖鎖間相互作用として、(KDN)GM3-Gg3相互作用がニジマス精子と卵の結合に関与することを示唆しており、本研究はこの相互作用の受精における役割の解明を目的としている。本年度は以下の結果を得た。 1.(KDN)GM3-Gg3糖鎖相互作用の性質の解明:(KDN)GM3を含有するコレステロール(^3H標識)およびジミリストイルホスファチジルコリンの混合リポソームを作製し、そのリポソームをプラスチック製の96-ウェルプレートに非共有結合的に固相化させたGg3(ラクトシルセラミドのGal残基にGalNAcが結合)表面に一定時間接触させることで接着させ、さらに洗浄後、接着したまま残存するリポソーム量を測定して相互作用の指標とした。その結果、相互作用には生理的条件下において二価陽イオンを必要としないが、マンガンイオンが相互作用を増幅すること、KDNをNeu5Acにすると相互作用が著しく低下することが明らかとなった。 2.精子-卵接着過程における糖鎖-糖鎖間相互作用の例証および役割の解明: ニジマス精子表面に存在する主要な糖脂質である(KDN)GM3と結合する卵側の分子を検索した。卵抽出物をプレートに固相化させ、その表面への(KDN)GM3リポソームの接着を調べたところ、卵側のGg3糖鎖構造をもつ分子は糖脂質ではなく糖タンパク質糖鎖であり、細胞膜に局在することが示唆された。
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[Publications] Takashi Angata: "Synthesis of neoglycoconjugates containing deaminated neuraminic acid(KDN)using rat liver α2,6-sialyltransferase." Glycobiology. 8巻・3号(印刷中). (1998)
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[Publications] Chihiro Sato: "Identification of oligo-N-glycolylneuraminic acid residues in mammal-derived glycoproteins by a newly developed immunochemical reagent and biochemical methods." Journal of Biological Chemistry. 273巻・5号. 2575-2582 (1998)