1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09241102
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
河田 聡 大阪大学, 工学部, 教授 (30144439)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 裕和 山梨大学, 工学部, 助教授 (10165574)
梅田 倫弘 東京農工大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60111803)
柳田 敏雄 大阪大学, 医学部, 教授 (30089883)
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Keywords | エバネッセントフォトン / レーザートラッピング / ニアフィールド光学顕微鏡 / 一分子計測 / 分子モーター / Mie粒子 / 原子線散乱 / 共鳴二光子イオン化分光 |
Research Abstract |
河田は、チャネル導波路および微小開口において形成されるエバネッセント場によりMie微粒子に働くフォトンフォースを電磁論的に明らかにし、それらにより微粒子の運動制御が可能であることを示した。さらに、40nmφの金微粒子を水中において2次元的にレーザートラップできることを見いだし、捕捉された金微粒子をプローブとしたニアフィールド光学顕微鏡の提案および試作を行った。金微粒子のブラウン運動の影響を受けながらも、試作装置ではおよそ80nmの分解能を達成した。 柳田は、全反射型の近接場光学顕微鏡を利用して蛍光分子1分子を水中観察する方法を開発し、光ピンセットによるナノメートル・ピコニユートンレベルの変位と力の測定系と組み合わせ、生体エネルギーの化学一力学変換過程を1分子計測する技術を確立した。これによりミオシンによるATPの加水分解反応と、アクチン-ミオシン間の滑り運動とのカップリングの様子を計測し、化学反応と力学反応の間に数十ミリ秒から数百ミリ秒の遅れが生じる場合があることを発見した。タンパク質が化学反応のエネルギーを分子内部にためておき、仕事が必要なタイミングを計っているという可能性が示唆された。 梅田は、光軸上の任意の位置での光放射圧の光軸方向力を測定するために、先端にμmサイズの微小球を取り付けた光ファイバーカンチレバ-とその共振現象を利用する新規な方法を開発し、光強度と光放射圧は比例関係にあり、ビームの焦点を挟んで二つのピークを持つ光放射圧分布が得られ、幾何光学モデルから導かれる光放射圧の理論値と一致することを明らかにした。 堀は、原子レベルのニアフィールドのフォトン力学過程として、原子・光近接場相互作用における局所的擬運動量と擬角運動量の移行に注目し、実験的に検証するため超高真空原子線散乱装置と波長以下の空間選択性と原子スピン検出を同時に可能とする光近接場共鳴二光子イオン化分光法の開発を行い、表面近傍原子の選択的高分解分光に成功した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] H.Hatano: "Near-field optical microscope with a multiheight scanning-imaging mode" Optics Letters. 22. 1532-1534 (1997)
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[Publications] T.Sugiura: "Gold-Bead scanning near-field optical microscope with laser-force position control" Optics Letters. 22. 1663-1665 (1997)
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[Publications] M.Tokunaga: "Subpiconewton intermolecular force microscopy" Biochem.and Biophys.Res.Commun.231. 566-569 (1997)
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[Publications] H.Kojima: "Mechanics of single kinesin molecular measured by optical trapping nanometry" Biophys.J.73. 2012-2022 (1997)
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[Publications] 梅田倫弘: "ヘテロダイン・フォトン走査型トンネル顕微鏡の開発" BME(日本ME学会誌). 11. 29-36 (1997)
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[Publications] T.Matsudo: "Pseudomomentum transfer from evanescent wave o atoms measured by saturated absorption spectroscopy" Optics Communications. 145. 64-68 (1998)
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[Publications] 大津元一, 河田聡: "近接場ナノフォトニクスハンドブック" オプトロニクス社, 270 (1997)
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[Publications] 柳田敏雄: "生物物理から見た生命像3" 吉岡書店, 164 (1997)