1997 Fiscal Year Annual Research Report
構造空孔を含む化合物半導体の規則-メソスコピック相変態
Project/Area Number |
09242210
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中村 吉男 東京工業大学, 工学部, 助教授 (00164351)
|
Keywords | 相変態 / 構造空孔 / 高分解能電子顕微鏡 / 核発生 / メソスコピック / 規則構造 |
Research Abstract |
構造空孔を含む化合物半導体の規則-メソスコピック相変態を行うものとして、本年度はIn2Te3について研究を行った.従来の研究によれば610℃以上でカチオン位置にInと構造空孔が不規則に分布した不規則相,以下で構造空孔が規則化した空孔規則相の相変態があるとされていた.粉末X線回析法ならびに高分解能電子顕微鏡法を用いた構造研究で確かに低温相は空孔規則相(空間群Imm2)であることが明らかとなったが,高温相は単純な不規則固溶体ではなかった.Ga2Se3やGa2Te3のように構造空孔の一部が{111}に集合して空孔面をつくり,それが{111}面約15枚毎に不規則に分布しているメソスコピック相であった.幾何学的な考察からこの空孔面密度ではカチオン位置のすべての構造空孔を収容することはできず,一部の構造空孔は空孔面に囲まれた内部にも存在することが示唆された.このような構造空孔の収容形態の二面性は低温相への相変態の二面性をもたらした.すなわち空冷程度のかなり早い冷却速度で固溶空孔は規則化し,直径数百Åの低温相となる.しかし空孔面上の空孔はなかなか相変態には寄与せず,低温相の核は存在しても変態はなかなか進行しない.この状態を高分解能電子顕微鏡で確かめることができた.このような早い相変態と遅い相変態の二面性は高温相が単位胞レベルで不均質,メソスコピックな領域で均質であるメソスコピック相特有な現象と解釈された.
|
-
[Publications] 中村吉男,花田 剛: "構造空孔を含む化合物半導体の規則-メソスコピック転移" 電子顕微鏡. 32. 150-154 (1997)
-
[Publications] T.Hanada, A.Yamana, Y.Nakamura O.Nittono and T.Wada: "Crystal structure of CuIn3Se5 semiconductor studied by Electron and X-ray diffraction" Jpn.J.Appl.Phys.36. L1494-L1497 (1997)
-
[Publications] M.Suzuki, T.Uenoyama, T.Wada, T.Hanada and Y.Nakamura: "Effect of crystal symmetry on electronic structures of CuInSe2 and CuIn3Se5" Jpn.J.Appl.Phys.36. L1139-L1141 (1997)
-
[Publications] T.Hanada, F.Izumi, Y.Nakamura, O.Nittono, Q.Huang and A.Santoro: "NEUTRON AND ELECTRON DIFFRACTION STUDIES OF ZnGa2Se4" phisica B. (1997)
-
[Publications] H.Tanaka, S.Nagakura, Y.Nakamura and Y.Hirotsu.: "Electron Crystallography study of Tempered Iron-Nitrogen Martensite and Structure Refinement of Precipitated α^<11>-Fe16N2" Acta Mater.45. 1401-1410 (1997)