1997 Fiscal Year Annual Research Report
半導体結晶中における金属相析出粒子の粗大化段階の研究
Project/Area Number |
09242211
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
大塚 信雄 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 教授 (80111649)
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Keywords | GaAs / 析出 / pn接合 / 不純物 / TEM |
Research Abstract |
この研究課題で、本研究代表者は平成9年度にこの「相変態」重点領域の公募研究として研究費1100千円を受けた。その結果、この9年度に目指した目的の主要な部分を達成することが出来た。実験として、SiおよびBeの注入量を4×10^<17>cm^<-3>から3.5×10^<18>cm^<-3>の範囲で変えた各種pn接合構造を低温で成長し、750℃で焼鈍時間を変えて、X線回折、Hall効果測定、および断面TEM観察を行なった。これらの実験の結果は、As析出粒子の粗大化段階において、GaAs結晶が化学量論的組成に近くなり、注入した不純物による伝導電子・正孔が自由になり始めた時に、pn接合に沿って析出粒子の存在しない領域(析出粒子欠乏層)が形成することを示した。長時間の焼鈍で析出粒子欠乏層の幅が定常的になった時の値は、各試料の不純物注入量から予想されるpn接合の空乏層の幅と析出粒子の周囲の空乏層幅の和と良く一致した。両方の空乏層の幅とも不純物注入量の低下とともに広くなるが、下にしめした断面TEM像で見られるように、析出粒子欠乏層の幅も不純物注入量の低下ともに広くなった。この観察結果は、Asの析出粒子が、半導体結晶の電子的エネルギーを低下させるために、結晶のより広い領域を真性半導体の状態に保とうとするように再分布する現象として説明される。この成果は、日本物理学会(神戸)で発表し、現在J.Appl.Phys.に投稿するために論文の形にしているところである。
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