1997 Fiscal Year Annual Research Report
放射線照射に伴う規則析出相の不安定化と微細組織制御の可能性
Project/Area Number |
09242234
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松村 晶 九州大学, 工学部, 助教授 (60150520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 和弘 九州大学, 工学部, 助手 (80253491)
椎山 謙一 九州大学, 工学部, 助手 (30243900)
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Keywords | 一次相転位 / 放射線照射 / 規則合金 / 析出粒子 / 相安定性 / 非平衡相転移 / 組織制御 / ギンツブルグ・ランダウ模型 |
Research Abstract |
研究代表者は最近、局所的な規則度と濃度の相関を考慮した現象論的な規則化速度論モデルに、放射線照射効果を加味して、照射環境下での規則析出相の安定性と溶解消滅過程を議論した。本年度はこの速度論モデルを改良して、イオン照射などに伴うカスケード損傷による規則析出相の構造変化の計算機模擬実験を行った。平行してNi-18at%Mo合金(fcc不規則相とD1a型規則相の2相共存)にMoイオン(300keV)を照射して、その組織変化を電子顕微鏡観察により検討を行っている。以下に本年度の成果を要約する。 (1)放射線照射による断熱的変化と熱力学的駆動力による回復の2種類の素過程を考慮した局所的な規則度Sと組成Xの速度方程式を、2次元マトリックス(65×65セル)上で解く計算機プログラムを開発した。計算では、放射線照射によってカスケード損傷がある確率でもってランダムに発生し、それと同時にその内部で局所的に不規則化と組成の均質化が生ずるとした。 (2)上記プログラムを用いて、規則相と不規則相の2相共存状態にある2元合金に放射線照射を行ったときの構造変化に関する計算機模擬実験を行った。特に、照射線量率とカスケード損傷領域サイズによる過程の変化に着目して計算を進めた。 (3)照射による析出粒子の溶解過程は、照射線量率に依存して大きく2種類に分類できる。すなわち、高線量率の場合はまず不規則化した後に溶解が、低線量率では不規則化と溶解が同時に進行する。 (4)カスケード損傷領域が大きくなると、溶解の途中で析出粒子の分裂・合体が見られる。この結果は、放射線照射による析出組織の微細化の可能性を示唆する。 (5)Ni-Mo合金の実験については、Moイオンの照射は終えており、現在微細構造の解析を進めている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] S.Matsumura: "Phase separation near the metastable critical point of order-disorder transition in a tricritical system of Fe-Si alloys" Annales de Physique. 22-c3. 173-174 (1997)
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[Publications] S.Matsumura,M.Okudaira,C.Kinoshita: "Instability of ordered precipitates due to local disordering and atomic mixing under irradiation" Journal of Nuclear Materials. 251. 145-149 (1997)
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[Publications] T.Morimura,S.Matsumura,et al.: "Phase equilibria of L1_0 type order in Cu-Au-Pd and Cu-Au-Ni ternary systems" Philosophical Magazine A. 76. 1235-1249 (1998)
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[Publications] S.Matsumura,T.Furuse,K.Oki: "Time evolution of long range ordering in CuAuPd ternary alloys" Materials Transactions,JIM. 39. 159-168 (1997)