1997 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロ原子置換型炭素材料の電子状態に関する理論的研究
Project/Area Number |
09243222
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
栗田 典之 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (40283501)
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Keywords | 電子状態 / 分子軌道計算 / 置換型炭素材料 / ホウ素添加炭素材料 / 窒素添加炭素材料 / 電極材料 / リチウム2次電池 |
Research Abstract |
1、研究結果の概要 リチウムイオン二次電池用負極材料として、低結晶炭素材料にホウ素、窒素をドープした材料が開発され、従来の材料より充放電容量が大きい材料が得られている。本研究では、低結晶炭素材料をモデル化したグラファイト状炭化水素に、ホウ素あるいは窒素をドープした際の、電子状態の変化を半経験的分子軌道法により計算し、ド-ピングによりLiイオン受容量が増加する原因を理論的に明らかにした。 2、研究結果の詳細 本研究では、正6角形のグラファイト状炭化水素を考え、まず最初のステップとして、C24H12を採用し、B及びN置換による電子状態の変化を解析した。Bを2個置換したB2C22H12のLUMO(最低非占有軌道)のエネルギーは、-2.5eVであり、C24H12のLUMOよりも約1.5eV低い位置にある。従って、B2C22H12においては、Liが付着した際にLiから電子を受け取り易い電子状態が実現している。一方、Nを2個置換したN2C22H12のLUMOは、C24H12のLUMOと殆ど同じ位置にあり、N置換によるLUMOのシフトはない。 実際にLi原子をシートに付着させ、安定構造、電子状態の変化を解析すると、Liを6個付着させた場合の安定化エネルギーは、74(C24H12)、150(B2C22H12)、225(B4C20H12)、67(N2C22H12)、81kcal/mol(N4C20H12)となり、B置換のシートにLiを付着させた方が、N置換の場合よりも安定になる。従って、炭素材料へのLi受容量を増加させるためには、B置換がより有効であると思われる。クラスターサイズをC54H18に拡大し、BあるいはN置換を行った場合も、同様の結果になる。
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