1997 Fiscal Year Annual Research Report
核スピンメーザーの開発と^<129>Xe原子の永久電気双極子能率の高感度探索
Project/Area Number |
09246210
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
旭 耕一郎 東京工業大学, 理学部, 助教授 (80114354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 健二 東京工業大学, 理学部, 助手 (40272661)
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Keywords | 時間反転不変性 / 電気双極子能率 / スピンメーザー / 希ガス核スピン偏極 / 光ポンピング法 / 自由歳差運動 / スピン緩和時間 / 輻射減衰時間 |
Research Abstract |
^<129>Xe原子の永久電気双極子能率(EDM)の測定精度は、従来の方法においてスピンの自由歳差運動の減衰時間、すなわち横緩和時間T_2が有限であることによって制限されている。これを乗り越えて従来より高い精度でEDMの探索を行なうために、^<129>Xeを動作物質とするスピンメーザーの開発を行なった。すなわち、歳差に伴うスピン磁化の振動によってコイルに生じた誘導起電力を、タンク回路を経てコイルに帰還し、生じた振動磁場によって歳差運動を自己保持する機構を発現させる。 これまでに、メーザー発振に必要な^<129>Xeスピン偏極生成のための、光ポンピング用レーザー、その光学系およびポンピングセル用オ-ブンの組立・整備を行ない、100torrの圧力で偏極度P_<Xe>=69.4±1.9%を得ることに成功した。また、磁気シールドを製作し、磁場の不均一度を3mG/cm以下まで抑えることができた。さらに歳差検出器系の開発を行なって、^<129>Xeスビンの自由歳差の観測に成功している。この測定から現在のところ横緩和時間がT_2〜440msと得られている。発振のためには、T_2をコイルとスピンとの結合度で決まる輻射減衰時間τ_<RD>〜40Sより長くする必要がある。磁気シールドはT_2を長くするに十分な特性を持っており、短いT_2の原因である磁場の不均一度は種々の測定から^<129>Xeセルの近傍の部品にわずかながら含まれる磁性不純物の起因するものと見られる。現在、T_2の延伸とメーザーの発振実現をめざして、装置部品の磁性に関する詳細な検討を行なっている。
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[Publications] K.Asahi: "Nuclear and fundamental physics with spin-polarized nuclei" Nucl.Instr.Meth.A. 402. 224-228 (1998)
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[Publications] H.Sato et al.: "Polarized ^<129>Xe solid for polarizing unstable nuclei" Nucl.Instr.Meth.A. 402. 241-243 (1998)
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[Publications] K.Sakai et al.: "Development of polarized ^3He gas system as a spin analyzer for low energy neutrons" Nucl.Instr.Meth.A. 402. 244-246 (1998)