1997 Fiscal Year Annual Research Report
統合的環境知識データベースと推論システムを用いた東アジアの環境将来予測
Project/Area Number |
09248229
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井村 秀文 九州大学, 工学部, 教授 (20203333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 亨 九州大学, 工学部, 助手 (50274519)
藤倉 良 九州大学, 工学部, 助教授 (10274482)
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Keywords | エキスパートシステム / 知識データベース / 環境将来予測 / 学習曲線 / アジア / 環境と開発 / 食糧受給 / 専門家調査 |
Research Abstract |
1.環境知識データベースの開発 モデルの基礎となる数値情報に加えて,人間の洞察・推論に働きかけるあらゆる形態の環境情報を統合したデータベースである。開発にあたっては、(1)さまざまな規格(データ形式)に対応できる入力環境、(2)統一されたデータベース管理形式(data)、(3)データの効果的表示機能(information)、(4)統計解析等のデータ加工機能及び解析結果の統合利用(knowledge)、等の機能を持たせるものとした。 (4)に関しては、経済指標と他のさまざまな環境指標との相関の高さに着目し、一国の経済発展のレベルを記述する指標を説明変数として,各種の環境指標との関係を分析した。 2.推論システムの構築と中国の食糧需給予測への適用 (1) 国レベルのマクロ変数を用いた予測:トップダウン型モデル ここで用いた予測モデルの基本は,様々な環境因子を、学習曲線をベースとした関係式によってつないだ連鎖構造(システムダイナミクス)である。また、都市と農村の成長過程の違いを予測結果に反映させるため,全国を都市部と農村部の2つに分割した。 反収(単位面積あたり収穫量)について設定したシナリオ1〜3に対し,それぞれ 2008 年,2001 年,1996 年に穀物需要量は供給量を上回る結果となった。 (2) 市・県レベルの詳細なデータを用いた予測:ボトムアップ型モデル 穀物生産量は、地域ごとのミクロな自然特性に大きく左右されるので、まず、中国全土の 2,182 の「市、県」を観測単位として、穀物生産量とその説明変数に関するデータ収集を行う。反収の説明変数として,化学肥料投入量,有効灌漑率,農業機械の使用,気象(年平均気温,年平均降水量,年平均雲量)を仮定する。 OECFの値に比べ若干値が上回る結果となったが、これは反収の算出方法や耕地面積のシナリオ設定の違いによる。 3.専門家の総合的判断の集約:専門家調査の実施 我が国の中国及び環境の専門家・有識者を対象に、中長期的な中国の将来についての見方を調査した。この調査の目的は,定式化の困難な環境因子についての予測値を,専門家の知識と経験に基づく直感的判断から抽出することである。これは,複雑な要因が絡み合って生じる現実の現象を、人間の持つ総合的判断力で予測するための1つの実際的アプローチとして位置づけられるものである。本調査では,直感的判断を可能な限り定量化するために,グラフ中に現在から 2050 年までの予測ラインを書き込んでもらうという方法を採用した。また、あらかじめ単純なトレンドによる予測ラインを、情報として与えた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 金子慎治: "中国の環境将来予測に関する専門家調査" 第5回地球環境シンポジウム. 291-298 (1997)
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[Publications] 中山裕文: "中国の石炭需要とその輸送に関する将来予測" 環境システム研究. 25. 295-302 (1997)
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[Publications] 豊田高志: "中国の食糧生産に関する経験的関係式の導出とそれを用いた将来予測" 環境システム研究. 25. 111-119 (1997)
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[Publications] S. Kaneko: "Long-term Perspective on Population and Food Supply and Demand in Asia Based on Empirical Equation and BaU Seenarios" Journal of Global Emvironment Engineering. 3. 99-119 (1997)