1997 Fiscal Year Annual Research Report
太陽菌外膜構成タンパク質発現制御因子OmpRのDNA結合ドメインの精密構造解析
Project/Area Number |
09249201
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中川 敦史 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20188890)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 勲 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70093052)
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Keywords | 構造生物学 / シンクロトロン放射光 / 転写制御因子 |
Research Abstract |
大腸菌における外膜の浸透圧変化への対応は,膜に存在して外界の浸透圧を感知するセンサータンパク質EnvZと,EnvZからの情報を受け取り,膜の構成タンパク質であるOmpCとOmpFの発現量を制御するOmpRの2つのタンパク質が関与している.OmpRは,情報を受け取る部分(N末端側のリン酸化ドメイン)と遺伝子を制御する部分(C末端側のDNA結合ドメイン)の2つのドメインから構成されている. 本研究では,このOmpRのC末端側のDNA結合ドメイン(OmpR-C)の構造を2.0Å分解能の回折強度データを用いて精密化を行なった.OmpR-Cの結晶はX線照射に対して不安定で室温下では高分解能の回折強度データを収集することができなかったのが,100Kの窒素気流中で結晶を急速に凍結させた状態で,放射光を用いて回折強度データを収集し,2.0Å分解能の回折強度データを得ることができた. 構造の精密化は,X-PLOR3.851およびREFMACを用いて行なった.最終的に,収集した2.0Å分解能までのすべての回折強度データを用いて,R=0.212,Rfree=0.259の構造が得られている.この時の構造の標準値からのずれは,結合距離,結合角がそれぞれ,0.006Å,1.230°であった. 得られた構造から,他の類似タンパク質とDNA複合体の構造を参考にしてOmpR-CとDNAとの結合モデルの作製を行ったところ,立体障害がほとんどない比較的妥当な構造が得られた.このモデルによると,α3と呼んでいるDNA認識ヘリックスの中で,DNAと相互作用していると考えられるアミノ酸残基は多様性に富んでいるのに対し,タンパク質内部に存在して構造保持に必要と考えられるアミノ酸は良く保存されている.このことから,OmpRのDNA認識部位がこの領域であることはほぼ間違いないであると考えている.
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