1997 Fiscal Year Annual Research Report
モデル動物を用いたHTLV-I発がんおよび関連疾患発症機構の解析
Project/Area Number |
09253201
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉木 敬 北海道大学, 医学部, 教授 (60220612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 仁 北海道大学, 医学部, 助手 (20232192)
脇坂 明美 北海道大学, 医学部, 助教授 (90113646)
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Keywords | ウイルス発がん / HTLV-I / 疾患モデル / トランスジェニックラット / 胸腺腫 / 膠原病 / HAM / TSP |
Research Abstract |
HTLV-I発がんおよび関連疾患発症機構解明を目指し、作製した各種疾患発症HTLV-Iトランスジェニックならび感染モデルラットの解析を行い、以下の諸点を明らかとした。 1.リンパ球特異的発現1ckプロモーターによりHTLV-IpX遺伝子を発現する1ck-pXトランスジュニックラット5系統中4系統に胸腺腫の発生を認めた。しかし、その発生率はさまざまで導入遺伝子のコピー数とは関係なく、胸腺でのpX遺伝子の発現量と相関を示す傾向にあった。 2.種々の膠原病発症env-pXトランスジェニックラットの末梢T細胞は疾患発症前からCD80/86やICAM-1など活性化を示す分子の発現やin vitroでの種々の刺激による高反応性を示した。また、TCRVβ mRNAのRT-PCR-SSCPの結果、炎症局所の浸潤T細胞は比較的オリゴクローナルであるが、異なる個体では必ずしも共通してはいなかった。env-pXトランスジェニックラットと正常ラット間での骨髄や脾細胞移入実験では、疾患によりリンパ球、標的組織あるいは胸腺などリンパ球の成熟に関わる組織のいずれの組織での導入pXの発現が重要かは異なり、少なくとも3通り発症機構が関与した異なる疾患が存在することが示唆された。 3.HAM/TSP類似脊髄症を発症するHTLV-I感染ラット(HAMラット)の脊髄ではPCRを利用したin situ hybridizationで少なくともミクログリア/マクロファージ系細胞にHTLV-Iが感染していることを証明した。また、このHAMを発症するWKAH系ラットでは脊髄症発症約6か月前の潜伏期間中から出現するオリゴデンドロサイトのアポトーシスの出現時期に一致してpX遺伝子の高発現とともにTNF-αの発現やbcl-2の一過性の発現抑制を見た。しかし、HAMを発症しない系統のHTLV-I感染ラットではこれらの変化は見られなかった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Yamazaki,H.: "A wide spectrum of collagen vascular and autoimmune diseases in transgenic rats carrying the env-pX gene of human T lymphocyte virus type I." Int.Immunol.9. 339-346 (1997)
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[Publications] Murata,K.: "In vivo retrovirus-mediated herpes simplex virus thymidine kinase gene therapy approach for adult T cell leukemia in a rat model." Jpn.J.Cancer Res.88. 492-500 (1997)
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[Publications] Shikishima,H.: "HTLV-IpX transgenic rats:development of cytokine-producing mammary carcinomas and establishment of the pX mammary carcinoma cell lines." Leukemia. 11. 70-72 (1997)
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[Publications] Yoshiki,T.: "Models of HTLV-I-induced diseases.Infectious transmission of HTLV-I in inbred rats and HTLV-I env-pX transgenic rats." Leukemia. 11. 245-246 (1997)
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[Publications] Ohya,O.: "HTLV-I induced myeloneuropathy in WKAH rats:Apoptosis and local activation of the HTLV-I pX and TNF-α genes implicated in the pathogenesis." Leukemia. 11. 255-257 (1997)
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[Publications] 吉木 敬: "ヒトレトロウイルス感染症の病理" 日本病理学会会誌. 86・2. 21-45 (1997)