1997 Fiscal Year Annual Research Report
HPV16E2蛋白の子宮頸癌細胞増殖阻害の分子機構の解明とその応用に向けての研究
Project/Area Number |
09253223
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
酒井 博幸 京都大学, ウイルス研究所, 助教授 (80281731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日合 弘 京都大学, 医学研究科, 教授 (10073131)
石本 秋稔 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (50073127)
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Keywords | HPV / 子宮頚癌 / E2 / 転写因子 |
Research Abstract |
1.細胞増殖阻害に必要なE2の機能解析 E2の発現ベクターをHPV陽性の子宮頚癌細胞に導入してその細胞増殖に及ほす影響を調べたところ、E2のDNA結合性、転写活性化機構の両方が細胞増殖阻害に対して重要であることが分かった。また転写活性の強弱と増殖阻害活性の程度の間にも相関が認められた。 2.細胞増殖阻害におけるE2の作用機序 HPVによる子宮頸癌発症にはウイルス性の因子としてE6とE7の働きが重要であると考えられるが、E2はそれらの発現を転写レベルで抑制することが知られている。この転写抑制活性にもDNA結合能と転写活性化機構の両方が必要であることが明らかとなった。Hela細胞でも実際にE2発現によって組み込まれたHPVゲノムからのE6/E7転写が抑制されることが確認できた。 E6/E7の発現制御、特にE6の発現抑制の結果予測されるp53タンパクの安定化、p21発現の増加、cdk活性の抑制、pRBの低リン酸化状態へのシフトが確認された。 3.E2による細胞増殖への効果の特異性 E2による細胞増殖への影響が特異的なものかを、HPV陽性と陰性の子宮頸癌由来細胞を用いて解析した。その結果E2の効果はHPV陽性細胞でのみ観察され、その特異性が示された。 またE2のN末側に含まれる転写活性化ドメインをVP16やp300のものと交換したキメラ型タンパクで、この作用のE2特異性を調べた。いずれのキメラタンパクも強い転写活性可能を保持していたが癌細胞の増殖は阻害できなかった。またこれらのキメラタンバタはE6/E7の転写も抑制できなかった。つまりE2特有の転写括性化機構が細胞増殖調節や転写抑制にも機能することを示している。 4.DNA複製におけるE2の機能を検討したところE1-E2相互作用とE2のDNA結合性が重要であることが分かっていたが、今回の解析から転写かアクティブなDNA鋳型の複製に関してはE2の転写活性化機能も重要な役割を果たすことが示された。このことは転写因子であるE2がDNA複製にも関与する意義を示すものである。
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[Publications] T.Yasugi 他: "Mapping and characterization of the interaction domains of human papillomavirus type 16 El and E2 proteins" Journal of Virology. 71. 891-899 (1997)
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[Publications] T.Yasugi 他: "Two classes of human papillomavirus type 16E1 mutants suggest pleiotropic conformational constraints affectinfE1 multimerization,E2 interaction,and interaction with cellular proteins." Journal of Virology. 71. 5942-5981 (1997)
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[Publications] Y.Iwatani 他: "Human immunodeficiency virus type 1 Vpu modifies viral cytopathic effect through augmented virus release" Journal of General Virology. 78. 841-846 (1997)