1997 Fiscal Year Annual Research Report
NPM-MLF1遺伝子の骨髄異形成症候群から急性白血病に至る発がん機構の解析
Project/Area Number |
09253250
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
福原 資郎 関西医科大学, 医学部, 教授 (40142301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 順也 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス科, 助教授 (00273839)
加藤 規子 関西医科大学, 医学部, 助手 (10252785)
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Keywords | 骨髄異形成症候群 / NPM-MLF1キメラ遺伝子 / 急性骨髄性白血病 / t(3;5) / 分子機能解析 / アポトーシス |
Research Abstract |
1.NPM-MLF1を造血器細胞株に過剰発現させ、NPM-MLF1による細胞分化阻害と細胞死がどのような細胞系・分化段階において誘導可能かを調べた。未分化骨髄系細胞株のみで誘導可能であり、やや分化傾向のある段階では細胞死は誘導できなかった。 2.NPM-MLF1により分化誘導阻害を示す上記の細胞系をもちいて、その分化阻害と細胞死の過程において、アポトーシス関連遺伝子産物の発現が、誘導あるいは阻害されるかを検討した。内在性のアポトーシス関連遺伝子産物については変動を認めなかったが、過剰発現させた系においてNPM-MLF1による細胞死が救済されることを見いだした。 3.細胞株を用いたPT-PCR法による野性型MLF1遺伝子の定量化を各種造血器疾患例に適応すると、AMLではFAB分類におけるM0・M1・M2の比較的未分化な段階に強発現を示し、これらの分化初期段階での何らかの造血機構を担うものと考える。骨髄異形成症候群(MDS)ではRA・RAEBに比べ明らかにRAEB-Tで強発現し、MDS病態から白血病移行に伴い発現が漸次増強することを示した。また、AMLではMLF1強発現群において明らかに予後不良であった。 4.考察:NPM-MLF1による骨髄系細胞株における細胞死の誘導の実験系から、NPM-MLF1は幹細胞に非常に近い段階で造血系に影響を与えると考えられ、アポトーシス関連遺伝子産物の強制発現により細胞死を回避しうる事実はt(3;5)転座の臨床病型をin vitroにおいて説明しうる。また、野性型MLF1遺伝子の臨床的検討から、未分化AML段階およびRAEB-Tで強発現し、MDS病態から白血病移行への指標および予後因子としても臨床応用可能と考えられた。
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