1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09254243
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐方 功幸 九州大学, 理学部, 教授 (80142024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中條 信成 九州大学, 理学部, 助手 (90294876)
岡崎 賢二 九州大学, 生物分子工学研究所, 主席研究員 (50211115)
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Keywords | ツメガエル卵 / NIH3T3細胞 / 卵成熟 / 細胞がん化 / Mos / MAPキナーゼ / 核移行 / 核内因子 |
Research Abstract |
Mosは一般に細胞質に存在し,脊椎動物卵成熟およびNIH3T3細胞がん化においてMAPキナーゼ経路を活性化し,その機能を発揮すると考えられている。しかしながら,我々はこれまで,核移行シグナルを付加されたMosが野生型Mosと同様にNIH3T3細胞をがん化できることを示し,Mosが核においても機能することを示唆してきた。本研究では,ツメガエル卵成熟とNIH3T3細胞がん化におけるMos/MAPキナーゼ経路の核内での機能と下流経路に関し,以下の諸点を明らかにした。 1.ツメガエル卵に注入されたMosは一部核に移行し,MAPキナーゼを活性化することにより核膜崩壊(卵成熟の開始)をひき起こす。 2.生理的な卵成熟の進行には,Mos/MAPキナーゼ経路と協調的に働く核内因子も必須であり,その機能はcdc2キナーゼの脱リン酸化に関与している。 3.核移行シグナルを付与されたMosは野生型Mosと同様にNIH3T3細胞をがん化させることができ,その下流にはMek1,MAPキナーゼおよびc-Fosが存在する。 本研究を通して,ツメガエル卵成熟においてMosが核内でも機能し得ること,また,Mos/MAPキナーゼ経路と協調的に働く核内因子の存在が初めて示された。しかし,核膜崩壊におけるMos/MAPキナーゼ経路の標的(例えばラミン?)や上記の核内因子の正体については未だ不明であり,今後の研究が待たれる。一方,NIH3T3細胞のがん化においても,Mosは細胞質のみならず核内でも機能し,MAPキナーゼ,c-Fosを介してその機能を発揮することが示された。しかし,核内のMos/MAPキナーゼ経路がc-Fos以外の核内因子(例えば,FosB,Fra1,Fra2など)も標的にしているか否か,今後の課題として残っている。
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[Publications] Sagata,N.: "What does Mos do in oocytes and soviatic cell?" BioEssays. 19. 13-21 (1997)
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[Publications] Iwashita,J.: "cDNA cloning of a novel B subunit of Xenopus protein phosphatase 2A and its biological activity in oocytes." Biochemical and Biophysical Research Communications. 232. 218-222 (1997)
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[Publications] Furuno,N.: "Meiotic cell cycle in Xenopus oocytes is independent of cdk2 kinase." EMBO Journal. 16. 3860-3865 (1997)
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[Publications] Iwashita,J.: "Essential role of germinal vesicle material in the meiotic cell cycle of Xenopus oocytes." Proceedings of the National Academy of Science USA. (in press). (1998)
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[Publications] Sagata,N.: "Mechanisms of meiotic maturation and arrest in vertebrate oocytes." Seminars in Cell and Developmental Biology. (in press). (1998)
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[Publications] Yoshitome,S.: "Involvement of cyclin B2,but not cyclin B1,in bipolar spindle formation in Xenopus oocytes." Biology of the Cell. (in press). (1998)
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[Publications] 佐方 功幸: "蛋白質 核酸 酵素 増刊「プロテオリシス」" 共立出版, 7 (1997)
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[Publications] 佐方 功幸: "両生類の発生生物学" 北海道大学図書刊行会(印刷中), (1998)