1997 Fiscal Year Annual Research Report
p53の変異部位に対応した放射線による癌治療法の開発
Project/Area Number |
09255245
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
岡市 協生 長崎大学, 医学部, 助教授 (80124874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井原 誠 長崎大学, 医学部, 助手 (60175213)
奥村 寛 長崎大学, 医学部, 教授 (00073130)
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Keywords | p53 / 癌治療 / 変異部位 / 放射線耐性 / 放射線感受性 / 放射線治療 |
Research Abstract |
癌細胞のp53に変異が有ると放射線に耐性になり予後が悪いという症例が数多く報告されている。一方、癌細胞のp53に変異が有ると放射線に感受性だという報告も有る。これらの相違は用いた細胞の種類の違いによると考えられるが、それ以外にp53の変異部位の違いにもよるのではないかと考えられる。しかし、p53の変異部位と放射線耐性との関係は、まだ明らかになっていない。そこで、p53の変異部位のみが異なる癌細胞を作成し、変異部位に対応した適切な放射線治療を行うための知見が得られる系を作成しようと試みた。さらに、放射線耐性になったp53変異細胞において種々の抗癌剤を検討し、放射線治療効果が上がる治療法を開発ようと試みた。 いくつかの突然変異したp53遺伝子を人工的に作成し、SaOS-2細胞(p53遺伝子が欠失している骨肉腫細胞)に導入した。また、コントロールとして正常p53遺伝子をLacSwitchの系を用いて細胞に導入した。これらのp53遺伝子導入細胞の放射線感受性を測定したところ、正常p53遺伝子導入細胞では、放射線感受性が高くなった。また、143A、175H、273H変異細胞では、放射線に抵抗性であったが、123A変異細胞では、放射線に感受性であった。このことより、p53遺伝子の変異部位によって放射線感受性が異なることが分かった。次に、これらの細胞を用いて、各種抗癌剤に対する感受性を測定したところ、p53遺伝子の変異部位によって感受性が異なる抗癌剤と、p53の変異が感受性にあまり関与しない抗癌剤があることが分かった。
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[Publications] K.Okaichi: "Sensitivity to ionizing radiation in Saos-2 cells transfected with mutant p53 genes depends on the mutation position." Journal of Radiation Research. (in press).
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[Publications] L.Wang: "Sensitivity of anticancer drugs in Saos-2 cells transfected with mutant p53 varied with mutation point." Anticancer Research. (in press).
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[Publications] 岡市協生: "p53突然変異遺伝子の細胞への導入" 長崎医学会雑誌. 71巻. 348-351 (1996)
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[Publications] 岡市協生: "正常p53遺伝子の細胞への導入" 広島医学. (印刷中).