1997 Fiscal Year Annual Research Report
変異HIVに対する阻害剤のデザインとウイルス病原性の分子機構解明への展開
Project/Area Number |
09258224
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
木曽 良明 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (40089107)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤路 健一 京都薬科大学, 薬学部, 助教授 (60142296)
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Keywords | HIVプロテアーゼ / 分子認識 / エイズ治療薬 / 基質遷移状態 / HIVプロテアーゼ阻害剤 / ペプチド合成 / 酵素阻害剤 / 抗HIV活性 |
Research Abstract |
我々はHIVプロテアーゼの基質遷移状態概念に基づいて,選択性が高い活性の強いHIVプロテアーゼ阻害剤(KNI-272)をデザインし合成することにすでに成功した.本化合物はHIVプロテアーゼのメカニズムから論理的にデザインされているので細胞毒性が低く,HIVプロテアーゼ活性中心に特異的に作用することにより,理想的な抗エイズ薬として期待されている.そこで本研究をさらに進めて,変異ウイルスの分子構造解析を行い,変異酵素・抗エイズ薬複合体との構造解析に基づいて,新規な抗エイズ薬の相互作用を考慮した論理的分子設計を行った.本研究により得られた成果は,耐性ウイルスに対する戦略として大いに期待される.この様にして得られた化合物は現在人類の最緊急課題である副作用と耐性を克服する抗エイズ薬として有望である. 変異HIVおよびHIV-2において,そのプロテアーゼの酵素活性は低く,更に変異HIVの感染性が低いという報告や,HIV-2の病原性が低いという報告もある.これらのことは,低酵素活性が感染性低下のひとつの原因と見なすことができ,ウイルス病原性分子機構解明へ酵素の化学構造レベルからのアプローチも試みた.その結果,小分子型ジペプチド阻害剤KNI-413とKNI-549を見いだした.また,KNI-272に耐性をもつHIV-1に対して活性を持つKNI-241さらに小分子化したKNI-727をデザインした. 本研究は,世界中から期待されているHIVプロテアーゼ阻害剤研究を,酵素・阻害剤複合相互作用の解析に基づき理論的に行ったもので,変異ウイルスに対応できるHIV阻害剤のデザインの方法を確立したといえよう.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 木曽良明: "次世代エイズ治療薬としてのHIVプロテアーゼ阻害薬の登場." 日本臨牀. 55. 1287-1295 (1997)
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[Publications] Naohiro Kuriyama: "Convergent synthesis of (-)-mirabazole B using a chloroimidazolidium coupling reagent,CIP." Tetrahedron. 53. 8323-8334 (1997)
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[Publications] Kenichi Akaji: "Macrocyclization on solid support using Heck reaction." Tetrahedron Lett.38. 5185-5188 (1997)
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[Publications] 木曽良明: "グラフィックスを用いるプロテアーゼ・阻害剤系の構造解析" 蛋白質・核酸・酵素. 42. 2465-2473 (1997)
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[Publications] Toshiyuki Goto: "Inhibition sites in HIV-infected cells by a protease inhibitor,KNI-272." AIDS Res.Newsletter. 153 (1997)
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[Publications] Yoshiaki Kiso: "KNI-577,a potent small-sized HIV protease inhibitor based on the dipeptide containing the hydroxymethylcarbonyl isostere as an ideal transition-state mimic." Arch.Pharm.Pharm.Med.Chem.331. 87-89 (1998)