1997 Fiscal Year Annual Research Report
抗原提示細胞により活性化されるT細胞におけるHIV増殖制御について
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09258227
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Research Institution | 国立予防衛生研究所 |
Principal Investigator |
横田 恭子 国立感染症研究所, 免疫部・感染免疫室, 室長 (20182701)
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Keywords | HIV-LTR / 抗原特異的T細胞活性化 / DNA結合蛋白 / プロモーター活性 / ウイルス増殖 |
Research Abstract |
末梢血単球由来樹状細胞(DC)による抗原特異的なT細胞活性化において、HIV-LTRに結合する細胞蛋白とそれによるウイルス産生制御について解析した。DCあるいはDCにより活性化されるT細胞中にはNF-κB構成蛋白やSp-1と異なるSp-1部位結合蛋白が存在し、LTRに結合することを確認した。LTRに2箇所存在するNF-κBあるいは3箇所存在するSp-1部位が欠失あるいは変異したLTRのプロモーター活性を測定したところ、これらの欠失変異によりtat存在下でのプロモーター活性は野生株の20-30%程度に低下した。両方とも欠失したLTRおよびSp-1のGGがTTに置き換えられた変異Sp-1はtat存在下でも非存在下と同様極く低いプロモーター活性しか示さなかった。PMAとイオノマイシンで活性化されるCD4^+T細胞およびDCにより抗原特異的に早期に活性化されるCD45RO^+記憶T細胞において、NF-κBやSp-1部位が単独に欠失したウイルスはwild typeと比較して増殖はやや遅延したが、2週間後のウイルス産生量はほぼ同レベルであり、CEM細胞で解析したプロモーター活性にほぼ対応していた。ただしCD45RO^+T細胞ではNF-κB欠失ウイルスの増殖はドナーによってより顕著に低下する例も認められた。更にLTR上流のAP-1やNF-AT結合配列において、DCあるいはDCにより活性化されるT細胞中にはこれらの配列に結合する蛋白は検出されず、EcoRVから150bp(AP-1とNF-AT結合部位の一部)をけずってもウイルスの増殖はまったく影響を受けなかった。DCにより活性化されるCD4^+T細胞全体では、Sp-1部位の欠失がウイルス増殖に最も影響しており、T細胞亜集団における活性化細胞因子の相違を反映している可能性もある。以上、均一に高度に活性化されるT細胞では主にNF-κBとSp-1がエンハンサーとしての機能を相互におぎないあってウイルスの増殖を高めること、また、T細胞の一部は活性化にともなうSp-1様蛋白の誘導がより重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
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[Publications] Y.Tsunetsugu-Yokota et al.: "Efficient Virus transmission from dendritic cells to CD4+ T cells in response to antigen depends on close contact through adhesion molecules." Virology. 239. 259-268 (1997)
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[Publications] T.Yagi et al.: "Fas/FasL interaction is not involved in apoptosis of activated CD4+T cells upon HIV-1 infection in vitro." J.Acq.Imm.Def.Synd.Hum.Retro.(in press). (1998)
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[Publications] S.Yasuda et al.: "Detection of HIV-specific antibodies in sera and saliva of HIV-infected adults and in sera of infants born to HIV-1-infected mothers." Mirobiol.Immunol.(in press). (1998)