1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09258229
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Research Institution | 国立予防衛生研究所 |
Principal Investigator |
阪井 弘治 国立感染症研究所, エイズ研究センター, 主任研究官 (60260270)
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Keywords | HIV-1 / vif |
Research Abstract |
本年度は,HIV-1 vif遺伝子を対象に,下記の2つの研究課題を遂行した。 (1)大腸菌で発現した可溶性Vifタンパク質の精製: 大腸菌で発現した可溶性Vif-6xHis融合タンパク質を,Ni-アフィニティーカラムにて精製を試みた。条件を種々変えたがNiカラムに全く吸着されなかった。そこで,異なった方法を試み,陰イオンカラムの非吸着画分をゲルロ過することで,タンパク質がかなりの程度まで精製できることが明らかになった。 (2)vif遺伝子変異導入ウイルスの許容細胞での増殖: vif遺伝子欠失ウイルスは,ある種の細胞(非許容細胞)では増殖できないが,その他の細胞(許容細胞)では増殖可能である。許容細胞は,Vifタンパク質の欠失を補償するVif様因子を産生すると考えられている。 昨年度に報告したvif遺伝子変異導入ウイルスは,Vif完全欠失ウイルスとは異なり,完全長の変異Vifタンパク質を産生する。従って,非許容細胞で増殖しない変異ウイルスであっても,部分的Vif活性を保持している可能性が考えられる。許容細胞中のVif様因子と何らかの相互作用をする可能性も有る。そこで,その疑問を解くために,許容細胞におけるvif変異ウイルスの挙動を調べた。 SW480細胞にトランスフェクトして回収したウイルスをM8166細胞に感染させた結果,16種中2種の変異ウイルス(KS407とKS415)が増殖しなかった。SW480,M8166細胞共に,vif欠失ウイルスが増殖可能な許容細胞である。これらウイルスの変異Vifタンパク質が,細胞由来のVif様因子を拮抗阻害している可能性も有る。KS407とKS415が,いわゆるDominant Negativeの性質を持つか否かは検証中である。 一方,HeLa細胞にトランスフェクトして回収したウイルスをM8166細胞に感染させた場合,KS407とKS415は良く増殖した。このSW480とHeLaとの違いの原因は不明である。許容細胞の産生するVif様因子の各種細胞での量的或いは質的差異がその原因となっているのであろうか。解明すべき問題である。
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[Publications] Anazawa,H., Lee,I.-E., and Sakai,K.: "HIV Removal Efficiency of Pall Ultipor VF DV50 Virus Removal Filter" Pharm Tech Japan. 13・7. 31-35 (1997)
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[Publications] Yamamoto,T., Takahashi,H., Sakai,K.Kowithayakorn,T.and Koyano,T.: "Screening of Thai Plants for Anti-HIV-1 Activity" Natural Medicines. 51・6. 541-546 (1997)