1997 Fiscal Year Annual Research Report
NMDA受容体刺激で誘導されるシナプスに局在する高分子の検索
Project/Area Number |
09259213
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
那波 宏之 新潟大学, 脳研究所, 教授 (50183083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 寿章 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 助教授 (10257636)
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Keywords | NMDA / 大脳皮質 / 神経発達 / 転写因子 / 差分PCR / ジンクフィンガー |
Research Abstract |
中枢神経系シナプスにおける神経伝達は、興奮性アミノ酸のグルタミン酸に主に依存しているが、中でもNMDA型グルタミン酸受容体を介するものは、長期増強(LTP)に代表される伝達効率の変化、並びに発達期のシナプスの再構成や安定化に重要な役割を果たしていると考えられている。本研究では、大脳皮質神経細胞においてNMDA受容体の特異的な刺激で誘導される遺伝子(mRNA)を複数固定しその機能を知ることにより、NMDA受容体がどの様な分子を通してシナプスの再構成や安定化に寄与しているか探った。 我々は、培養神経のRNAを差分提示PCR法により分析し、NMDA受容体刺激でのみ誘導されるか、もしくはAP-5処理で低下する分子を64クローン固定した。このうち5クローンは既知のものと同一であった。他のクローンをRNAブロッテイング法により脳での発現とケイレンでの誘導性をもとにとりあえず4クローンに絞りこんでいる。クローン‰55はこの蛋白はセルサイクル蛋白と高い相同性を有し、分裂期の神経盤胚葉で高く、その後は錐体細胞にその発現がかぎられ、またNMDA刺激で上昇する。現在その脳内分布、および神経分化/発達との関係を解析することで、シナプスの可塑性との関わりを調べている。その他のクローン‰8、10、39はいずれもジンクフィンガーモチーフを有する新規蛋白で、脳内分布が互いに異なっている。いずれのクローンも機能制御系のタンパクをコードしていると推測されるので、NMDA依存性の神経可塑性との関連が注目される。 <差分提示PCR法分離した64クローンの内訳> 既知クローン 6;INF-反応分子、Prostatin, F1-ATPase,ミトコンドリア遺伝子等 未知クローン 58;内、脳での発現が強いもの10クローン この脳での特異的発現を持つ10クローンよりケイレンでの誘導性をもとに4クローンを選出して全長cDNAをライブラリーより取得、解析している。以下にクローンの概略を示す。 pHIT55;全長2.6kb mRNA,シークエンス完了、TPRモチーフ、錐体細胞に多い pHIT8;全長6.5kb mRNA,シークエンス完了、Znフィンガーモチーフ、前脳部に多い pHIT10;全長7.0kb mRNA,シークエンス完了、Znフィンガーモチーフ、線条体に多い pHIT39;全長4.5kb mRNA,シークエンス途中、Znフィンガーモチーフ
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