1997 Fiscal Year Annual Research Report
海馬シナプス伝達長期増強の誘発と維持におけるプロテインキナーゼの役割
Project/Area Number |
09259230
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
福永 浩司 熊本大学, 医学部, 助教授 (90136721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠原 二郎 熊本大学, 医学部, 助手 (10295131)
山本 秀幸 熊本大学, 医学部, 講師 (60191433)
宮本 英七 熊本大学, 医学部, 教授 (50109659)
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Keywords | シナプス可塑性 / 海馬 / 長期増強 / CaMキナーゼII / MAPキナーゼ / プロテインホスファターゼ2A / NMDA受容体 / カルモデュリン |
Research Abstract |
海馬CAIシナプス伝達長期増強(LTP)はシナプス前部の脱分極,シナプス後部でのNMDA受容体の活性化,プロテインキナーゼの活性化反応と連続的に進行して,最終的に長期のシナプスにおける可塑的変化を引き起こす。これまでにLTPにおいてCaMキナーゼIIが恒常的に活性化されること,シナプス前部,後部におけるCaMキナーゼIIの標的分子のいくつかを同定した。本研究ではプロテインホスファターゼ2A(PP-2A)がLTPにおけるCaMキナーゼIIの標的分子であることを明らかにした。すなわち,海馬LTPにおいてPP-2Aの活性が低下していること,それに伴ってPP-2Aの55kDaの調節サブユニットが燐酸化されることが解った。精製したPP-2Aを用いて調べると,CaMキナーゼIIによって燐酸化され,それに伴って活性が低下した。PP-2AのCaMキナーゼIIによる活性調節は海馬LTPの維持過程に関与すると考えられる。CaMキナーゼIIに加えて,海馬LTPでは増殖因子活性化キナーゼ(MAPキナーゼ)が活性化されることが知られている。今回,培養海馬神経細胞を用いて,NMDA受容体刺激後のMAPキナーゼの活性化機構とその細胞内基質としてMARCKSを同定した。また,海馬LTPにおいても燐酸化反応が亢進していた。従来,MARCKSはプロテインキナーゼCの良好な基質として知られており,アクチンとの相互作用によって神経突起形成に関与している。このことから,MAPキナーゼは細胞骨格関連蛋白質MARCKSを燐酸化することによって,LTPにおけるシナプスの再構成に関与していると考えられる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Motohiro Morioka: "Calcineurin in the adult rat hippocampus:Different distribution in CA1 and CA3 subfields" Neuroscience. 78. 673-684 (1997)
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[Publications] Masanobu Sugimura: "DY-9760e, a novel calmodulin antagonist with cytoprotective action" European Journal of Pharmacology. 336. 99-106 (1997)
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[Publications] Kohji Fukunaga: "Role of MAP kinase in neurons" Molecular Neurobiology. (in press). (1997)
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[Publications] 福永浩司: "CaMキナーゼIIと神経機能" 細胞工学. 16. 55-63 (1997)
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[Publications] Eishichi Miyamoto: "Role of Ca^<2+>/calmodulin-dependent protein kinase II in neuronal regulation, In:Kinases and Phosphatases in Lymphocyte and Neuronal Signaling" Springer-Verlag, Tokyo(Ed.H.Yakura), 10 (1997)