1997 Fiscal Year Annual Research Report
原子レベルの分解能で見たリゾチームN状態の臨界構造安定性とアンフォールディング
Project/Area Number |
09261239
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
瀬川 新一 関西学院大学, 理学部, 教授 (70103132)
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Keywords | 蛋白質の折りたたみ / リゾチーム / 重水素交換 / NMR / アンフォールディング / 立体構造のゆらぎ |
Research Abstract |
蛋白質の立体構造の構築原理を理解するために、我々はパルス水素ラベル法と2次元NMR法を組み合わせて、蛋白質のアンフォールディング過程を各残基毎に観測する研究を行った。リ-ゾチーム分子を4.0M塩酸グアニジン(GuHCl)、pH3.0というU状態条件下におくと、10分程度の時間でアンフォールドする。この反応途中にあるリゾチームを10秒間軽水素でパルスラベルし、2次元NMRスペクトルから、約45残基に対し残基毎のアンフォールディング速度を観測した。それらは非常に近接しておりall-or-none型の構造変化が起きていることを明瞭に示している。しかし温度を10℃まで下げると、CDスペクトルの変化から観測された分子全体のアンフォールディング速度に比べ、水素パルスラベル法で観測されたものは5倍以上も速くプロテクションが解放されることが見出された。すなわち、アンフォールディング反応が著しく遅くなると、時間の経過とともに徐々に立体構造が溶融して、CDスペクトル的にはまだ十分N状態にあるにもかかわらず、水素パルスラベルに対するプロテクションが解けた構造に変化していることが明らかとなった。この結果はアンフォールディング反応の準備段階にある立体構造を実験的に検出したものとして重要な実験結果である。一方、パルスラベル反応から45個の残基毎のアンフォールディング反応の活性化エンタルピーを求めたが、これも分子全体に渡ってほぼ一様であった(βドメインのそれはαドメインのものに比べ、少し小さいことが僅かに認められる)。この活性化エンタルピーはCDスペクトルから観測された分子全体のアンフォールディングの活性化エンタルピーとほぼ等しい。以上、これらの実験結果はまだ論文発表されていないが、すでに97年度の蛋白質構造討論会で口頭発表されている。
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[Publications] Noda Yasuo: "A Two-Dimensional NMR study of Exchange Behavior of Amide Hydrogens in a Lysozyme Derivative with an Extra Cross-Link Between Glu35 and Trp108" Biopolymers. 41. 131-143 (1997)
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[Publications] Kubo Shigeru: "Improvement in the oxidative folding of endothelin-1 by a Lys-Arg extension of the amino terminus" Letters in Peptide Science. 4. 185-192 (1997)