1997 Fiscal Year Annual Research Report
ニホンナシの自家不和合性におけるS-RNaseの機能
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09262209
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中西 テツ 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (80031227)
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Keywords | ニホンナシ / 自家不和合性 / 形質転換 / リボヌクレアーゼ |
Research Abstract |
配偶体型自家不和合性を支配するS遺伝子は花柱側でRNaseをコードしており、ニホンナシでは栽培品種に存在するS1からS7の複対立遺伝子がクローニングされている本研究では、これらの遺伝子をタバコ、ペチュニアおよびニホンナシへ導入し、その発現を調べた。 ニホンナシ花柱のS2及びS4RNaseのcDNAをPetunia inflataのS3プロモーターにつなぎ、AgrobacteriumのLBA4404株を用い、バイナリーベクターを作成した。これをP.inflataのS3S3系統に形質転換させ、転換体を得た。転換体の花柱蛋白質を二次元電気泳動したが、RNaseの発現個体は見い出されていない。タバコの転換体はPCRで組換え部位を調べたところ、RNaseについては部分配列のみの挿入個体が多く見られた。花柱における発現をRT-PCRあとノーザンで分析した結果、シグナルが検出された。これらの蛋白質の分析を行ったが、RNaseは検出されず、転写後に何らかの制御が起きていることも考えられる。 RT-PCRは迅速かつ高感度で転写産物を検出するためにも利用される。本実験では、多数の形質転換体のスクリーニングが必要であったため、これらに適用可能な手法を検討した。その結果、Poly(A)テ-ル mRNAとビオチンラベルしたオリゴ(dt)20をハイブリダイズし、ストレプトアビジンコートチューブに捕獲する方法は、サンプル量も微量で扱え、抽出bufferとreverse transcriptaseの選択により、RNase活性の高い植物組織でも簡便な方法として有効であることがわかった。 ニホンナシでの形質転換系は、子葉を用いた系が最も効率が高いが、時期が制限されるため、茎頂培養で増殖したシュートからリ-フデイスクを作成し、サイトカイニンとしてTDZを用いた結果、ナシ栽培品種および野生種で細分化が可能となった。
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