1997 Fiscal Year Annual Research Report
グロビン遺伝子LCR結合因子によるクロマチン構造調節機構の解析
Project/Area Number |
09263203
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
五十嵐 和彦 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (00250738)
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Keywords | 赤血球 / 遺伝子発現 / クロマチン / 転写因子 / グロビン / LCR |
Research Abstract |
NF-E2関連転写因子Bachファミリーは、クロマチン構造に影響することが知られている特徴的構造(BTB領域)を有することから、この因子群はクロマチン構造を介して遺伝子発現調節を行う可能性が考えられる。本年度はこのBachファミリーの構造と機能の解析を進め、以下の知見を得た。 1)胚性幹細胞(ES細胞)を特殊な支持細胞上で培養することにより、効率よく赤血球分化を誘導することができる。この系を用いて赤血球分化過程におけるBach1の発現を解析したところ、ES細胞ではBach1の発現を全く認められないのに対して、分化を誘導することにより血液細胞マーカーの発現に先行してBach1の発現が強く誘導されることが明らかになった。この結果は、LCR領域のクロマチン構造は血液細胞分化の初期段階から既に活性化されているという報告と考え合わせると、非常に興味深い。 2)赤芽球抽出液を用いて、LCR中のNF-E2結合配列に対する結合活性をゲルシフト法を用いて検討した。その結果、赤芽球中にはNF-E2p45と小Mafのヘテロ二量体に加えて、Bach1と小Mafの二量体が存在することが明らかになった。このことは、Bach1がLCRの作用因子であることを強く示唆する。 3)昨年度の研究から、Bach1/MafKヘテロ二量体はBachのBTB領域を介した相互作用によりさらに多量体化することが示された。そこで、原子間力顕微鏡を用いて組み換えBach1とLCRDNAとの相互作用の可視化を試みた。ヒトLCRの12kbDNAとBach1、そしてMafKを反応させたところ、Bach1は多量体を形成して複数のDNA配列に同時に結合し、ループ状のDNA・蛋白質複合体を作り出すことが観察された。この結果から、Bach1はLCR領域の調節複合体の骨格の形成を仲介する因子である可能性が考えられる。
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[Publications] Motohashi,H.et al.: "The World According to Maf" Nucleic Acids Res.25. 2953-2959 (1997)
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[Publications] Itoh,K.et al.: "An Nvf2/small Maf Bercrochimer mediales the inducbon of phase II detoxy fying enzyme genes through autioxidant responsive elements" Biochem.Biophys.Res. Commun. 236. 313-322 (1997)
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[Publications] Nagai,T.et al,: "Regularion of NF-E2 activity in erythro leukemia cell differen Hahon" J.Biol.Chem.273(in press). (1998)