1997 Fiscal Year Annual Research Report
フェノール酸化酵素前駆体活性化構築の時間的・空間的制御機構
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09265201
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
芦田 正明 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (50012422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
落合 正則 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (10241382)
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Keywords | フェノール酸化酵素 / クチクル / 血液 / 昆虫 / タンパクの輸送 / 表皮細胞 |
Research Abstract |
昆虫のクチクルはキチン、種々のタンパク、脂質、ワックスなどから構成される。タンパクは表皮細胞で合成され、クチクル層に分泌されるものがほとんどだと考えられているが最近のSass et al.の研究によって血液から移送されるタンパクもあるらしいことが判ってきた。クチクルでのフェノール酸化酵素前駆体活性化系構築の時間的・空間的制御機構を研究する過程でフェノール酸化酵素前駆体は表皮細胞で合成されておらず、血液のものがクチクルへ移送されているらしいことを示す実験結果が得られた。現在までのところ血液からクチクルへタンパクが移送されていることを直接証明した実験例についての報告はなく、従って移送の機構も全く解明されていない。 本年度は家蚕幼虫を用いてフェノール酸化酵素前駆体が血液からクチクルへ移送されることを直接証明することと、移送の機構を解明する手がかりを得るためにクチクルと血液のフェノール酸化酵素前駆体を精製してその性質を比較することを目的に実験を行った。まずフェノール酸化酵素前駆体のアイソフォーム(proPO-SとproPO-F)の両者を持つ幼虫とproPO-Fのみをもつ幼虫がいることを利用して移行を証明した。具体的にはproPO-Sを精製し、それをproPO-Fしか持たない幼虫の血体腔に注入した。注入3日後にクチクルに存在するフェノール酸化酵素前駆体のアイソフォームを調べたところ、proPO-Sの存在が確認された。クチクルと血液のフェノール酸化酵素前駆体の諸性質を調べたところクチクルのものはCDSカラムクロマトグラフィーでリテンションタイムが短くなるような修飾を受けていることが判った。この修飾は糖やリン酸あるいは硫酸基の付加ではないらしいことを示す結果が得られている。現在、この修飾の実体を明らかにするための実験を行っている。
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[Publications] W.-J.Lee: "Molecular cloning and chromosomal localization of a prophenoloxidase cDNA from the malaria vector Anopheles gambiae." Insect Molec.Biol.7. 41-50 (1998)
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[Publications] Liu,C.T.: "Effects of Inhibitors of serine protease phenoloxidase and dopa decarboxylase on the melanization of Dirofilaria immitis microfilariae with Armigeres subalbatus haemolymph in vitro." Parasitology. 115. 57-68 (1997)
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[Publications] Brey,P.T.: "Molecular Mechanisms of lmmune Responses in lnsects" Chapman & Hall,London, 325 (1998)