1997 Fiscal Year Annual Research Report
多複製開始点を持つゲノムの複製開始の制御機構-DNAル-ピングとDNAベンディングの機能-
Project/Area Number |
09266204
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
犬塚 學 福井医科大学, 医学部, 助教授 (00135104)
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Keywords | 多複製開始点 / プラスミドR6K / DNAベンディング / イニシエーター蛋白 |
Research Abstract |
細胞複製は染色体の複製、特にその開始反応において制御されているが、多複製開始点をもつゲノムでの複製開始の分子制御機構、特に、開始点間の相互作用は、殆ど解明されていない。そこで、私達は、マルティオリジンをもつR6Kゲノムをモデルレプリコンとして選び、イニシエーターπ蛋白が7イテロンに結合後、2kb以上も離れたoriα,oriβを如何にして活性化するかを解明する。本年は、oriα、γレプリコン複製におけるπ蛋白変異、DnaA蛋白の機能解析より、DNA bendingを含むori構造変化の複製開始と制御への役割を解明した。 (1)π蛋白のカルボキシ端領域の機能分析: イニシエーターπ蛋白のpir遺伝子の欠失変異株を構築し、解析することにより、酸性アミノ酸に富むπ蛋白C端領域は複製開始をネガティブに調節する機能を持つことを明示した。 (2)宿主イニシエーターDnaA蛋白のR6K複製開始反応における機能-ori構造変化の誘導補助活性の発見: DnaA蛋白の役割を解明するために、DnaA蛋白に非依存的複製をするR6Kプラスミドを分離・解析し、染色体上に存在したIS5がR6K oriγレプリコンDNA上に転移することにより、DnaA蛋白非依存的な複製能を付与できることを発見した。また、ベントDNAの機能分析より、イニシオソーム構築におけるori DNA構造の重要性が示された。これらはDnaA蛋白がπ蛋自によるori構造変化を誘導補助し、複製開始機能をエンハンスする活性を持つことを示唆する。 (3)ori構造のトポロジーとπ蛋白の機能特異性:oriγ及びoriαレプリコンの複製において、π蛋白の変異による複製開始とその頻度への効果にはそれぞれ特異性があり、しかも、Ori構造のトポロジーに関与するヒストン様蛋白、IHFやH-NS,の要求性が異なることが判明した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 犬塚 學: "薬剤耐性プラスミドR6Kのイニシエーター蛋白の構造と機能-カルボキシ端領域の機能分析." 生化学. 69(7). 577 (1997)
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[Publications] Kiyono,M.: "Nucleotide Sequence and Expression of the Organomercurial-resistance Determinants from apseudomonas K-62 Plasmid pMR26." Gene. 189(2). 151-157 (1997)
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[Publications] 犬塚 學: "インテロンをもつプラスミドの複製開始制御機構--特にイニシエータータンパク質を介してのDNAル-ピングの役割--" 生化学. 69(11). 1271-1277 (1997)