1997 Fiscal Year Annual Research Report
DNAポリメラーゼαファミリーを相互識別する阻害剤の分子設計
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09266219
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Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
実吉 峯郎 帝京科学大学, 理工学部, 教授 (20002339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 十四文 帝京科学大学, 理工学部, 助手 (90230367)
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Keywords | DNAポリメラーゼα-プライマーゼ / 2-ブチルアニリノ-アラATP / サクラマス精巣 / DNAポリメラーゼδ / 拮抗阻害 / チエーンターミネーター |
Research Abstract |
平成9年度の補助を得て実施した具体的な例は、プリン塩基部に強い疎水性を有し、かつ水素結合能をしうる置換基を導入したdNTPアナログである。 すなわち、現在、唯一の存在であるといっていいブチルアニリノdGTP,dATPの、合成の困難さ、化学的、生化学的不安定性を改善し、疎水性寄与のさらなる検討を行うためである。その糖部として、αファミリーに強い親和性を有することが、我々のグループにより実証されてきたD-アラビノースを選択した。グアノシンから定量的に合成できるトリアセチル体の、オキシ塩化リンで6位をクロル化し、2位のアミノ基を、ジアゾ化をへてヨード化した。2-ヨードアデノシンを経てこれをアセチル化の後、亜硝酸処理を行い、2-ヨードイノシン型を高収率で得た。これをp-n-ブチルアニリンと反応させることによって2-p-n-プチルグアノシン型とし2行程を経て、2-P-n-ブチルアデノシンを満足すべき収率を得た。ついで、5′位と3′位を同時にTIPDSにより保護、2′位水酸基をトリフリル化し、酢酸カリウムを反応させ、上向きにアセトキシ基を導入した。一方、トリフリル体に窒化リチウムを反応させて、上向きアジド体をもあわせて合成し、常法により、オキシ塩化りんによるモノりん酸化、イミダゾリデ-ト法による5′-トリりん酸エステルとした。この構造は化学的にも安定であるとともに、サクラマス精巣由来のDNAポリメラーゼα-プライマーゼを極めて強力に阻害したが、δについては全く阻害しなかった。その阻害様式は基質であるdATPに対して拮抗的であり、かつ、合成した配列の明確な鋳型-プライマーを用いて検討した結果DNA伸長停止剤として働くことも証明した。
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Research Products
(1 results)