1997 Fiscal Year Annual Research Report
ブロメラインインヒビターの3次元構造解析とそれに基づく阻害剤の開発
Project/Area Number |
09267204
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田之倉 優 東京大学, 生物生産工学研究センター, 教授 (60136786)
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Keywords | ブロメラインインヒビター / システインプロテアーゼインヒビター / 蛋白質工学 / 遺伝子クローニング / 発現系 |
Research Abstract |
ブロメラインインヒビター(BI)は、パイナップルの茎に存在する蛋白質性のシステインプロテアーゼインヒビターである。我々はBIを単離精製し、アイソタイプVI(BI-VI)の2次元NMRスペクトルを測定解析して、溶液3次元構造を決定した。その結果、この蛋白質はβシートにより形成されるドメイン2個からなり、各ドメインは3本鎖の逆平行βシートからなることがわかった。BIのトリプシンならびにキモトリプシンに対する阻害活性を測定したところ、このインヒビターはセリンプロテアーゼ阻害活性も有することが明らかとなった。本研究では、BI-VIをタンパク質工学的に種々修飾あるいは置換して有用なインヒビターを開発することを目的として、発現系の構築と遺伝子のクローニングを試みた。 BI-VIは2本鎖のタンパク質であるが、構造から軽鎖のC末端と重鎖のN末端が空間的に近く、軽鎖のC末端が酵素阻害部位であることが分かったので、軽鎖-重鎖の順に並んだペプチドを発現する遺伝子を合成した。大腸菌で発現した蛋白質はすべて封入体となったので、種々の条件で巻き戻しを試みたが、活性のあるインヒビターを得ることはできなかった。BIには何らかのプロ配列が存在する可能性が示唆されたので、遺伝子のクローニングを行った。これまでに、genomicDNAから約1kbの断片がクローニングされ、重鎖、軽鎖、重鎖、軽鎖というように重鎖、軽鎖の配列が繰り返され、軽鎖と重鎖の間には5残基の、重鎖と軽鎖の間には19残基のアミノ酸が挿入されていることが判明した。この挿入配列は一般的なイントロン則には当てはまらないので、イントロンではなくBI遺伝子の1部であり、プロ配列に当たると考えている。今後、BI遺伝子の全構造を明らかにし、プロ配列を含む遺伝子配列に基づいて発現系を再構築し、上記の目的の変異体BIの作成を目指す。
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[Publications] Sato,K.ラ: "Crystallization and preliminary crystallographic studies of dimethyl sulfoxide reductase from Rhodobacter sphaeroides f.sp.Denitrificans." Proc.Japan Acad.73B・2. 30-32 (1997)
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[Publications] Suzuki,Y.ラ: "Modulatin of actin filament sliding by mutations of the SH2 cysteine in Dictyostelium myosin II." Biochem.Biophys.Res.Commuu.234・3. 701-706 (1997)
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[Publications] Suzuki,Y.ラ: "Hydrolysis of AMPPNP by the motor domain of ncd,a kinesin-related protein." FEBS Lett.409・1. 29-32 (1997)
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[Publications] Ichikawa,T.ラ: "Crystallization and preliminary crystallographic analysis of the sarcosine oxidase from Bacillus sp.NS-129." J.Struct.Biol.120. 109-111 (1997)