1997 Fiscal Year Annual Research Report
細胞分化過程におけるカルパインの活性化と生理機能の分子遺伝学的解析
Project/Area Number |
09267208
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
榎森 康文 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (60160389)
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Keywords | カルパイン / カルシウム / 細胞分化 / プロテオリシス / ショウジョウバエ / 細胞内タンパク分解 |
Research Abstract |
ショウジョウバエのカルパインは、哺乳類のいわゆる組織普遍的カルパインと同様の構造と発現分布を示す。細胞分裂および発生・分化過程において、タンパク分解は重要な位置を占めるが、分解酵素-基質-調節機構の3者が明確に解析されている例は少ない。本研究は、広く動物界に普遍的に存在する細胞内中性プロテアーゼであるカルパインを対象に、ショウジョウバエを実験系として選び、その基質を明確に捉えながら解析することで、細胞分化過程における機能を明らかにすることを目的として研究を行い、以下の結果を得た。(1)大腸菌における活性ある形での発現方法の改善して再現的に比較的多量の活性を保持したショウジョウバエカルパインを得る発現系を確立した。(2)カルパインの内在性基質を検索するため、(1)のカルパインと卵巣抽出物を利用し、10種程度のバンドをSDS-PAGE上で同定し、そのうち、5種類の部分アミノ酸配列を決定した。(3)種々のアクチン結合タンパク質のcDNAを得て、カルパインによる限定分解の有無をその切断様式を明らかにし、その情報からカルパインによるアクチン結合タンパク質の切断の生化学的意義を解析した。(4)培養細胞系でのカルパインの基質への作用を上記(1)から(3)の情報を素にして解析した。(5)カルパインと分子全体が似ていながら活性中心残基がないタンパク質をコードする遺伝子をゲノムライブラリー及びRT-PCR法によって得、そのX染色体上での位置を明らかにした。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Tadashi Suzuki (et al.): "Site-specific de-N-glycosylation of diglycosylated ovalbumin in hen oviduct by endogenous peptide:N-glycanase as a quality control system for newly synthesized proteins" Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 94巻. 6244-6249 (1997)
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[Publications] Takumi Misaka (et al.): "Taste buds have a cyclic nucleotide-activated channel,CNGgust" J.Biol.Chem.272巻. 22623-22629 (1997)
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[Publications] Susumu Amano (et al.): "Identification of endogenous substrates for Drosophila calpain from a salt-extracted fraction of Drosophila" J.Biochem.122巻. 865-871 (1997)
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[Publications] 榎森康文: "カルパイン-ショウジョウバエでの解析" 蛋白質・核酸・酵素. 42巻. 2175-2180 (1997)
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[Publications] 榎森康文: "魚類のGタンパク質共役受容体-化学受容と神経伝達-" 海洋. 30巻. 90-95 (1998)
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[Publications] Y.Homma & Y.Emori: "Purification and assay of PLC-δin Signalling by Inositides" IRL Press, 17 (1997)
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[Publications] 榎森康文: "遺伝情報の成り立ちと機能in生化学(鈴木紘一編)" (株)東京化学同人, 41 (1997)