1997 Fiscal Year Annual Research Report
酵母ミトコンドリアDNAの相同的組換えの機能と制御に関する研究
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09269227
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
凌 楓 理化学研究所, 遺伝生化学研究室, 研究員 (70281665)
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Keywords | 出芽酵母 / DNA組換え / ミトコンドリア / 活性酵素種 / 酵素呼吸阻害剤 / mhr1-1変異体 / CCE1遺伝子 / ミトコンドリアDNA |
Research Abstract |
本年度は、出芽酵母ミトコンドリアのDNA組換え欠損変異体(mhr1-1)について解析を行い、下記の研究成果を得た。 1)mhr1-1変異体は酸素呼吸阻害剤によってミトコンドリア内の活性酸素種の増減が起きると推定できる条件下で、ミトコンドリアDNAの欠損変異蓄積による呼吸欠損細胞の出現率も相応して変動することが確認できた。2)さらにミトコンドリアDNAの安定維持とMHR1遺伝子の機能欠損との関係を明らかにするためにDNA上の酸化的損傷検出系を新しく構築した。これを用いて、ミトコンドリア内の活性酸素種を増やす呼吸阻害剤の存在下、及び非許容温度下で生育したmhr1-1変異体のミトコンドリアDNA上に酸化的損傷の蓄積が顕著に起こることを検出した。したがって、MHR1遺伝子産物はDNA組換えの機能を通して、ミトコンドリアDNAの酸化的損傷修復に関与することが考えられる。3)MHR1遺伝子産物が働くDNAの組換え過程を同定するために、CCE1遺伝子の破壊株にmhr1-1変異を導入し、二重変異株を構築した。CCE1遺伝子産物はミトコンドリアDNAのHoliday構造体の解離に働くが、【.upper filled triangle.】cce1変異株ではミトコンドリアDNAの組換えや維持に欠損が見られないことが知られている。CCE1遺伝子単独の破壊株とmhr1-1単独変異体とはいずれも常温ではほとんどミトコンドリア呼吸機能欠損細胞を作り出さない。ところが、【.upper filled triangle.】cce1,mhr1-1二重変異株は常温でグルコース培地で培養するとほとんどの細胞の呼吸機能がなくなった。ミトコンドリアDNAを定量した結果、この呼吸欠損はミトコンドリアDNAへの欠失変異の蓄積によるものもあったが、主にDNAの完全喪失であった。この結果はミトコンドリアには2系統の組換え経路が存在すること、いずれかがDNA修復ばかりではなくDNAの複製にも必要なことを示唆する。
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Research Products
(1 results)