1997 Fiscal Year Annual Research Report
天然カシノイド成分を利用した新規抗マラリア剤の創製
Project/Area Number |
09270213
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小林 資正 大阪大学, 薬学部, 教授 (40116033)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 啓寿 大阪大学, 薬学部, 助教授 (00210013)
|
Keywords | 抗マラリア剤 / カシノイド / 鴉胆子 / Brucea javanica / ニガキ科植物 |
Research Abstract |
マラリアは、世界中で2億7000万人の人が感染し、毎年200万の人が死亡する人類最大の寄生原虫感染症であり、ワクチンの開発とともに、新規抗マラリア剤の開発は緊急を要する課題とされている。これまで、薬用植物の伝承薬効をもとに、天然カシノイド成分に抗マラリア作用のあることが明らかにされているが、天然から得られる個々のカシノイド成分の含量が低いことから、詳細な作用の検討もほとんど行われていない。そこで、本研究ではカシノイドを素材とし広範な化合物を合成し、構造活性相関を系統的に検討することにより新規抗マラリア剤の創製を目指す。現在までに、以下の知見を得ている。 数種の抗マラリア作用を示す天然カシノイド類がbruceolideを共通部分構造として有していることに着目し、容易に入手可能な生薬"鴉胆子"(Brucea javanica)からアルカリ加水分解や酵素加水分解により、bruceolideを高収量で得る方法を確立した。さらに、bruceolideの4つの水酸基の反応性を利用して、3位および15位水酸基に種々のアシル基を同時あるいは選択的に導入する方法を確立し、合成した種々のアシル基を導入した誘導体について、抗マラリア活性を検定した。その結果、3,15-di-O-acetylbruceolideおよび3,15-di-O-propionyl-bruceolideが強い原虫増殖抑制作用(EC_<50>3.9x10^<-8>M,3.5×10^<-8>M)を有するとともに、宿主モデルであるマウス乳癌由来FM3A細胞と比較して、それぞれ410倍と174倍の高い選択毒性比を示すことを明らかにしている。
|
-
[Publications] M.Kobayashi: "Inhibitors of Na/H exchanger from the bark of Erythrina variegata and the root of Maclura cochinchinensis" Chem.Pharm.Bull.45(10). 1615-1619 (1997)
-
[Publications] M.Kobayashi: "The absolute stereostructures of the polyacetylenic constituents Ginseng Radix Rubra" Tetrahedron. 53(46). 15691-15700 (1997)
-
[Publications] N.Murakami: "Anti-malarial activities of acylated bruceolide derivatives" Bioorga & Medicinal Chemistry Letters. (in press). (1998)