1997 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内情報伝達系における局所Ca^<2+>動態の画像解析とイオンチャンネル活性化制御機構
Project/Area Number |
09273246
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
渡辺 稔 名古屋市立大学, 薬学部, 教授 (50012638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村木 克彦 名古屋市立大学, 薬学部, 講師 (20254310)
今泉 祐治 名古屋市立大学, 薬学部, 教授 (60117794)
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Keywords | 筋小胞体 / Ca遊離チャネル / リアノジン受容体 / 共焦点蛍光顕微鏡 / Caスパーク / Ca依存性K電流 / Caホットスポット / 電位依存性Caチャネル |
Research Abstract |
心室筋や平滑筋の細胞内Ca^<2+>濃度は、特に外的刺激のない状態においても均一あるいは一定ではない。筋小胞体から、Ca遊離チャネルであるリアノジン受容体を介して自発的なCa遊離が局所的に生じる現象を、Ca蛍光色素と共焦点蛍光顕微鏡などを用いることにより数十ミリ秒間のCaスパークとして可視化することができる。我々は高速共焦点蛍光顕微鏡を用い平滑筋細胞においてCaスパークの2次元画像解析を行うとともに、自発性一過性外向き電流を室温で同時記録した。Caスパークが細胞内数箇所で見られる場合にも、スパークの中心が細胞膜から1μm以上離れている場合は明確に同期した外向き電流は観察されないことから、細胞膜と非常に緊密な位置関係にある筋小胞体だけが自発性一過性外向き電流を生じさせ得ると考えられる。興奮性の高い膀胱や精管の平滑筋細胞では、膜電位固定下での脱分極によりまずCa電流が活性化され、その後にCa依存性K電流(1_<K-Ca>)が活性化される。1_<K-Ca>の活性化は極めて速やかで、+10mVでは20ミリ秒以内にピークに達する。Ca画像解析によるとCa濃度の上昇は細胞膜に沿って均一に生じるのではなく、細胞膜直下に数個から20個程度の直径1μm以下のCaホットスポットが1_<K-Ca>の発生と同時に生じ、その後、徐々に広がり百ミリ秒以上続いて細胞全体のCa濃度が上昇することがわかった。Caホットスポットは電位依存性Caチャネルを介して流入したCa細胞膜直下の筋小胞体からCaを遊離させることによって生じると考えられる。活動電位の発生によっても同様のCaホットスポットが観察された。平滑筋において細胞膜直下の筋小胞体の一部は、リアノジン受容体を介するCa遊離により局所Ca動態に重要な生理的役割を持ち、BKチャネル活性を制御することにより、活動電位の波形や発生頻度および静止膜電位の調整を行うとともに、興奮収縮連関でのCa遊離連鎖の起点となる可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Masaru Hirano, et al.: "Effects of rutherium red on membrane ionic currents in urinary bladder smooth muscle cells of the guinea-pig." Pfluger Arch.(in press).
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[Publications] Yuji Imaizumi, et al.: "Ca^<1+> images and K^+ current duration depolarization in smooth muscle cells of the guinea-pig vas deferens and urinary bladder." Journal of Physiology. (in press).