1997 Fiscal Year Annual Research Report
核酸の特定部位を標的とする新規金属錯体の合成と機能解析
Project/Area Number |
09273251
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
塩谷 光彦 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 教授 (60187333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 健太郎 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (40281589)
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Keywords | 核酸 / 金属錯体 / 分子認識 / 生物、無機化学 |
Research Abstract |
遺伝子発現調節領域や染色体末端テロメアDNAを標的とする金属錯体:DNAのT塩基に選択的に結合する亜鉛錯体が、転写調節領域のATクラスター部位の二本鎖構造を不安定化することを見出した。また、大環状テルビウム錯体がテロメアDNAに結合し、蛍光を発することを見出した。制ガン剤開発と関連してテロメラーゼ活性について検討中である。 金属錯形成により自発的に集積する人工DNA:金属錯形成や芳香環スタッキングにより一本鎖鋳型DNA上に自発的に集まることが期待される核酸モノマー4種類を合成した。現在、核酸モノマーが一本鎖DNA上に相補的に配列するかどうかを調べている。 金属配位型核酸塩基を構成ユニットにもつ人工DNA:天然核酸塩基の代わりに金属配位子を有し、金属錯生成により二本鎖をつくる人工DNAを合成した。今年度は、フェニレンジアミン型核酸塩基をオリゴマーDNA中に導入し、金属イオンを活性点とするDNA構造変換を行う予定である。DNAの構造を利用した機能性材料を創成するというコンセプトに立ち、金属錯生成により二重鎖構造を作る新しい人工DNAの合成を行っている。今年度は、フェニレンジアミン基をもつデオキシリボヌクレオチドの合成に成功した。DNA自動合成機を駆使して、これをDNAの任意の場所に任意の数だけ導入する予定である。本研究は今後、生体機能の制御、分子レベルの電線など、新しい電気的、光学的、磁気的な機能性材料への応用を目指す。
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