1997 Fiscal Year Annual Research Report
初期発生におけるヘパリン結合性成長因子ミッドカインの役割
Project/Area Number |
09275209
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
門松 健治 名古屋大学, 医学部, 助教授 (80204519)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村松 寿子 名古屋大学, 医学部, 助手 (50182134)
|
Keywords | ミッドカイン / ヘパリン結合性成長因子 / アフリカツメガエル / アクチビン / Smad / 遺伝子ターゲティング |
Research Abstract |
今年度は、アフリカツメガエルを用いたMKの発生への関わりの解析、MKノックアウトマウス作製とその解析を中心に研究を進めた。 (1)MKはアクチビンによる中胚葉誘導を阻害し、アクチビン存在下で頭部神経を誘導する:さらに、アクチビンの細胞内シグナルの担い手であるSmad2のRNAとXMKRNAの同時注入によっても、中胚葉マーカーの抑制と、頭部神経マーカーの誘導があることがわかった。以上の結果から、MKのシグナルがアクチビン-Smad2系のシグナルと相互作用し、中胚葉誘導の阻害と、頭部神経の誘導をひきおこすものであることが示唆された。 (2)MKは歯状回の発達に重要である;MKノックアウト(KO)マウスを作製した。MKKOマウスは、個体発生あるいは生殖上、大きな異常を示さなかった。ところがカルシウム結合蛋白の1つであるカルレチニン(Cr)の発現を指標とした解析により、歯状回の発達の遅延があることが明らかとなった。 (3)腫瘍を含むその他の組織再構築の場におけるMKの発現:一過性の虚血による網膜変性の場合、MKの発現は一過性の低下を示し、再構築に呼応して、その発現は元に復した。また、ヒトグリオーマでは、正常組織に対して、腫瘍部で高い発現を示した。さらにMKはNIH3T3を形質転換させた。 (4)シンデカン1と3はMKと結合する:ヘパラン硫酸プロテオグリカンのメンバーであるシンデカン1および3がMKと結合することが明らかになった。とくに個体発生におけるシンデカンとMKの発現様式が似かよっていることから、両者の機能的な相互作用が示唆された。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Kadomatsu,K.ら: "Midkine induces the transformation of NIH3T3 cells." Brit.J.Cancer. 75. 354-359 (1997)
-
[Publications] Nakanishi,T.ら: "Expression of syndecan-1 and-3 during embryogenesis of the central nervous system in relation to binding with midkine." J.Biochem.121. 197-205 (1997)
-
[Publications] Mishima,K.ら: "Increased expression of midkine during the progression of human astrocytomas." Neurosci.Lett.233. 29-32 (1997)
-
[Publications] Yokota,C.ら: "Midkine counteracts the activin signal in mesoderm induction and promotes neural formation." J.Biochem.(印刷中). (1998)
-
[Publications] Miyashiro,M.ら: "Midkine expression in transient retinal ischemia in the rat." Cur.Eye Res.(印刷中). (1998)
-
[Publications] Aridome,K.ら: "Truncated midkine as a marker of diagnosis and detection of nodal metastases in gastrointestinal carcinomas." Brit.J.Cancer. (印刷中). (1998)