1997 Fiscal Year Annual Research Report
上皮誘導における細胞接着およびシグナル伝達関連因子カテニンの役割
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09275215
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永渕 昭良 京都大学, 医学研究科, 講師 (80218023)
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Keywords | 上皮 / 形態形成 / F9 / カドヘリン / αカテニン / 細胞接着 / βカテニン / 標的組換え |
Research Abstract |
発生過程における上皮形成は厳密な時間的・空間的の制御の元に行われるが、その分子機構については未だ不明の点が多い。本研究ではこの上皮組織の形成過程をF9細胞の上皮への分化系を用いて明らかにすることを目的としている。特に細胞間接着において重要な役割を果たすカテニン分子群が上皮組織の分化・構築において果たす役割に注目する。その際、F9細胞の上皮分化系というin vitro系を用い、標的組み換えなどの実験系を取り入れることが本研究の特色となっている。本年度は1)αカテニン欠損F9細胞の作成と2)βカテニンの安定化機構の解析、を進めた。 αカテニンが上皮形成で果たす役割を解析するため、標的組み換えの技術を用いてαカテニン欠損F9細胞を作成した。さらにαカテニン欠損細胞にαカテニンを再発現させることにも成功した。驚いたことにαカテニン欠損細胞も元の細胞とは少し性質が異なるがいわゆるカドヘリン依存性の細胞接着性を示した。今後αカテニンを含まないE型カドヘリン-βカテニン複合体のみの接着能についての解析の必要性がある。上皮形成について予備的実験を行ったところαカテニン欠損細胞は上皮組織を構築できないことが分かった。 βカテニンの安定化機構を知るため様々な部位に欠失や変異を持つ変異型βカテニンを作成し、カドヘリン活性を持たないマウスL細胞に導入した。正常なβカテニンはL細胞内で安定に存在し得ないが、βカテニンの分析に必須と考えられるGSK-3β認識部位を欠失又は変異した分子は安定に発現できることが分かった。さらに、そのような変異分子は自分自身が安定に発現するだけでなく、内在性の野生型βカテニンも安定化させることが分かった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Sako,Y., A,Nagafuchi, S.Tsukita, M.Takeichi, and A.Kusumi: "Cytoplasmic regulation of the movement of E-cadherin on the free cell surface as studied by optical tweezers and single particle tracking corralling and tethering by the membrane skeleton." J.Cell Biol.140. 1227-1240 (1998)
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[Publications] Fujimoto.K., A.Nagafuchi, S.Tsukita, A.Kuraoka, A.Ohokuma, and Y.Shibata.: "Dynamics of connexins,E-cadherin and alpha-catenin on cell membranes during gap junction formation." J.Cell Sci.110. 311-322 (1997)
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[Publications] Itoh.M., A.Nagafuchi, S.Moroi, and S.Tsukita.: "Involvement of ZO-1 in cadherin-based cell adhesion through its direct binding to alpha catenin and actin filaments." J.Cell Biol.138. 181-192 (1997)
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[Publications] Richmond, P.J., A.J.Karayiannakis, A.Nagafuchi, A., V.Kaisary, and M.Pignatelli.: "Aberrant E-cadherin and alpha-catenin expression in prostate cancer : correlation with patient survival." Cancer Res. 57. 3189-3193 (1997)