1997 Fiscal Year Annual Research Report
神経系特異的な遺伝子の転写を抑制する核内レセプターネットワーク
Project/Area Number |
09277221
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
松井 隆司 産業医科大学, 医学部, 助教授 (10140906)
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Keywords | 核内レセプター / 転写制御 / コアクチベータ- / プルキンエ細胞 |
Research Abstract |
オルファン核内レセプターRORaは小脳ブルキンエ細胞の生後樹状突起形成に密接に関与している。プルキンエ細胞の生後発達過程におけるRORaの標的遺伝子の同定とその転写制御機構を明らかにするため、ブルキンエ細胞特異的な三種類の遺伝子プロモーター(Pcp-2,lP3R1およびPEP19遺伝子)の転写へのRORaの関与をトランスフェクション実験系で解析した。その結果、Pcp-2遺伝子の転写がその上流に存在するホルモン応答配列(RORE)に依存してRORaにより活性化され、さらに、RORaによる転写が下流のレチノイン酸応答配列に依存してRARにより相乗的に活性化されたが、lP3R1およぴPEP19遺伝子の転写はRORaの影響を受けなかった。RORaとRARによる相乗的な転写の活性化機構を解析している過程で、ROREのみを含むプロモーターのRORa依存的な転写がグルココルチコイド(GR)およびアンドロゲンレセプター(AR)によりホルモン依存的に抑制されるのに対して、RARや甲状腺ホルモンレセプター(TR)には影響されないという結果を得、RORaはGRやARなどの特定の核内レセプターサブグループとantagonisticに相互作用することが示された。タンパク-タンパク相互作用実験でRORaがCBPと直接結合し、RORa依存的な転写にCBPが関与していることが示唆されたが、GRやARによるRORa依存的転写の抑制はCBPの過剰発現により解除されなかった。したがって、これら二つの核内レセプター間のantagonismにCBP以外のcoactivatorが関与している可能性が考えられ、現在検討中である。
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[Publications] T.Matsui: "Transcriptitional regulation of a Purkinje cell-specific gene through a functional interaction between RORa and RAR." Genes to Cells. 2. 263-272 (1997)
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[Publications] 松井隆司: "小脳形成とオ-ファン核内レセプターRORa" 蛋白質・核酸・酵素. 42. 2039-2048 (1997)
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[Publications] F.Kayama: "Proinflammatory cytokines and interleukin-6 inthe renal response to bacterial endotoxin." Cytokine. 9. 688-695 (1997)