1997 Fiscal Year Annual Research Report
分子モータ・アクトミオシンのESRによる動的構造解析とその結晶化
Project/Area Number |
09279223
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荒田 敏昭 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70151165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若林 克三 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (00029521)
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Keywords | アクチンモノマー / 非重合アクチン / ミオシンヘッド / アクトミオシン / X線小角散乱 / 結晶解析 / 電子スピン共鳴 / スピンラベル |
Research Abstract |
我々は筋収縮のエネルギー変換を蛋白質の分子構造に立脚して理解するために、最小単位であるアクチンとミオシン頭部の単量体コンプレックスのX線散乱実験とモーター蛋白用にESR技術改良を行った。Gアクチンをマレイミドベンゼン酸エステル、ジアゾニウムテトラゾルで化学修飾した結果、全く重合しないがミオシンと結合するアクチンモノマーを調製し、ミオシン頭部S1との1:1複合体を形成させることに成功した。さらに可逆的に強く結合したアクチン-S1複合体のみの散乱強度曲線は遊離アクチン、S1の散乱を補正して得られ混合モル比に関係せず一致した。算出した慣性半径は50オングストローム、分子量150kDa、最大分子コード長は180オングストローム、アクチン-S1重心間距離70-80オングストロームとなった。今年度はこれらを指標にしてアクチン、S1の原子座標を用いて散乱強度曲線を最適化するドッキング原子モデルを計算機により探索したところ、S1先端近くにアクチンが結合することが確定した。小さいドメイン間内部運動を考慮することにより完全にフィットできた。ATPの場合は複合体の解離がおこってしまい解析不能であったが、ADPでは解離を最小限に抑えた条件で同様の実験することに成功した。その結果、分子量は殆ど変わらず慣性半径が約3-4オングストロームだけ小さくなった。モデル計算ではS1が長軸のまわりに90度以上回転した。この結果はS1の2つの結合部位のち一方は隣接アクチンだけでなくもう一方の結合部位とともに同じアクチンと相互作用できることを示唆する。現在これらのモデルがユニークかどうかマーカー蛋白(DNaseI,軽鎖)を結合させて実験中である。 アクチン・ミオシン複合体モノマーの結晶化も精力的に押し進めているがまだ成功には至っていない。モーター蛋白用高感度SRE測定のためループギャップ共振器を試作中である。
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[Publications] T.Arata: "Electron Paramagnetic Resonance Studies on ATPase Intermediates and Orientation of Spin-labelled Mvosin Heads in Force-generating Muscle Fibres" J.Muscle Res.Cell Motil.18. 489 (1997)
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[Publications] 若林克三: "アクチンフィラメントの伸びと筋収縮" 日本物理学会誌. 52. 599-605 (1997)
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[Publications] T.Arata: "Current Methods in Muscle Physiology,Advantages,Problems,and Limitations 9.The Use of Spin Probes." ed H.Sugi,Oxford Univ.Press,UK, 376(223-239) (1998)
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[Publications] 杉本泰伸: "ニューバイオフィックス4生体分子モーターの仕組み2-2X線でとらえた分子モーターの形態変化" 石渡信一編 共立出版, 214(86-103) (1997)