1997 Fiscal Year Annual Research Report
血管平滑筋細胞の分化に関与する平滑筋特異的スプライシング因子の同定
Project/Area Number |
09281229
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
平野 勝也 九州大学, 医学部, 講師 (80291516)
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Keywords | 血管平滑筋細胞 / 形質転換 / 動脈硬化 / α-トロポミオシン / スプライシング / プロテインキナーゼC / 蛋白質リン酸化 |
Research Abstract |
本研究は、平滑筋特異的スプライシング因子を同定するために、培養平滑筋細胞を用いて、平滑筋細胞の形質変換に伴うトロポミオシンのアイソフォームの変換調節機構を明らかにすることを目的として行った。培養細胞には、ラット大動脈平滑筋細胞の初代培養を用いた。10%胎児牛血清を含む培地で培養し、コンフルエントに達した細胞を無血清培地で2日間培養して、実験に用いた。α-トロポミオシンアイソフォーム発現の解析は、逆転写-PCRにより行った。ラットα-トロポミオシンのエクソン1、2、3、4に特異的なプライマーを作製し、平滑筋細胞から精製した総RNAを1μg用い、RT-PCRによりトロポミオシン発現を解析した。 1.無血清培地で培養した平滑筋細胞を、再び血清で刺激すると1.5時間以内に、エクソン3を含む非平滑筋型アイソフォームの発現が増加した。エクソン1、エクソン2の発現は変化しなかった。血清濃度1%から増強作用が認められ、3%で最大効果に達し、エクソン3の発現は刺激前の約2倍になった。 2.血清によるエクソン3の発現増強は、1-10μM H-7の前処理により完全に抑制された。wortmanninは、0.1μMの濃度において、不完全な抑制作用を示した。 3.フォルボール12,13ジブチレートで平滑筋を刺激すると、エクソン3の発現が増加した。1nMから増強作用が認められ、100nMで最大効果に達し、エクソン3の発現は刺激前の約2倍に達した。 以上より、血管平滑筋細胞の増殖刺激を行うと、非平滑筋型αトロポミオシンの発現が増強し、その増強には蛋白質リン酸化反応が重要な役割を果たすことが明らかとなった。トロポミオシンpre-mRNAスプライシングの調節にプロテインキナーゼCが関与することが示唆された。
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Research Products
(1 results)