1998 Fiscal Year Annual Research Report
行動研究用実験動物としてのスンクスの特性検定と維持管理の標準化
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09301005
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
辻 敬一郎 名古屋大学, 文学部, 教授 (20023591)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 貴司 愛知淑徳短期大学, 助教授 (30199757)
石井 澄 名古屋大学, 文学部, 教授 (70092989)
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Keywords | スンクス / ドメスティケーション / 行動特性 / 日周活動リズム / 維持環境 / 動因操作 / 初期行動 / 配偶行動 |
Research Abstract |
本研究は,トガリネズミ科ジネズミ亜科に属するジャコウネズミ(Suncus murinus)を対象に,その行動特性を明らかにするとともに,個体の維持管理の標準化を試みるものである. 平成10年度には,名古屋大学文学部心理学教室(心理学実験動物舎)において維持している3系統(Onj,Snj,Oza)を被験体として,以下の課題について成果を得た. (1) 行動特性の解析:前年度に設置した装置(VitalViewデータ収録装置)を用いて体温・移動の両者の日周リズムの同時計測を行い,特異な体温低下と移動の停止の現象を見出した.この現象の生起メカニズムの解析のために,明暗周期の操作を導入し,それに対する応答を検討中である. (2) ドメスティケーションにともなう行動変性の追跡:1993年に沖縄本島で捕獲した野生個体を起源としてドメスティケーションを進めている系統(Oza)は順調に世代数を重ね,現時点で17〜18代に達している.それらのドメスティケーション世代におけるキャラヴァン行動を観測し,データを蓄積した. (3) 行動特性検定法の開発:学習実験に不可欠な動因操作の影響を確認するために,給水・給餌制限にともなう活性水準の変化についてデータを収集し,ラット・マウスとの比較によって,スンクスの種特異性を明らかにした. (4) 維持管理のシステム化:飼育環境下において,生育状況,交尾・分娩率,育仔率(幼仔殺傷)など繁殖の成否にかかわるデータを収集し,現行の維持管理方式の評価を試みた. (5) 野生ジャコウネズミ生息調査:沖縄県与那国島において,トラッピング法による生息状況を調査した.畜産の振興や農地改良などの影響で生息数が減少している.知名度も低い.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 辻 敬一郎: "心理学における生得的行動研究に期待されていること" 動物心理学研究. 47・2. 107-108 (1997)
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[Publications] 松尾 貴司: "スンクスの感覚-運動機能とキャラバン行動" 動物心理学研究. 47・2. 121-128 (1997)
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[Publications] 辻 敬一郎 他: "The house musk shrew Suncus murinus as a new laboratory animal for use in behavioural studies" 動物心理学研究. 49・1(印刷中). (1999)