2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09304035
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Research Institution | Institute for Solid State Physics, University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 敏男 東京大学, 物性研究所, 助教授 (20107395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中谷 信一郎 東京大学, 物性研究所, 助手 (40198122)
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Keywords | X線回折 / 表面 / 界面 / 磁性 / 構造解析 |
Research Abstract |
本年度は、磁性薄膜や磁性多層膜の磁気構造を研究する目的で以下の実験を行った。 まず、循環冷凍機式クライオポンプ付きの低温X線回折装置を整備するとともに試料に永久磁石で磁場を印加できるようにした。6.5Kまで測定可能であることを確認した。他方、これまで整備してきた超高真空装置内でSi(111)面上に2、3原子層分のFeを蒸着して、加熱処理を繰り返しながらLEEDパターンが1x1構造から2x2構造を経てクリーンな7x7構造に変わっていくことを観察した。また同時に測定したオージェ電子分光の結果からFeの相対的な被覆率を求めた。つぎに、このSi(111)面上のFeの2x2構造にSiのキャップ層を100Å程度蒸着して大気中で測定できる試料を作製した。この試料のX線反射率を実験室と放射光施設で測定して、Fe原子がほぼ層状に成長していることを確認した。またFeの吸収端近傍での反射率強度のエネルギー依存性を測定した。この測定データからFe原子と近接原子との距離が求められることが期待される。さらにX線定在波法で得られた結果を考慮して解析を行っている。一方、実験と並行して得られた実験結果の解析法の研究も進めた。磁気散乱にも適用可能な形式で、単原子層からのX線散乱振幅の絶対値を求める計算法を確立した。さらに、得られたX線強度分布の実験データから、モデルに依存しないで電スピン密度分布や軌道角運動量の密度分布を直接的に求めることのできる方法も開発した。質の高い実験結果が得られればこれらの方法により磁性に寄与する電子の分布を絶対値で議論できるものと期待される。 以上の結果をもとに研究課題「基板結晶上の磁性薄膜結晶の構造と磁性に関する研究」が放射光施設(PF)で採択されたので、今後さらに本研究を進展させる予定である。
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[Publications] T.Takahashi et al.: "Effect of surface structure on crystal-truncation-rod scattering under the Bragg condition"Phys.Rev.B. 62. 3630-3638 (2000)
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[Publications] T.Takahashi,K.Sumitani and S.Kusano: "Holographic Imaging of surface atoms using surface X-Ray diffraction"Surf.Sci. (in press). (2001)