1998 Fiscal Year Annual Research Report
σ-π共役を機軸とする機能性分子モデルの設計と合成
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09304060
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小松 紘一 京都大学, 化学研究所, 教授 (70026243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西長 亨 京都大学, 化学研究所, 助手 (30281108)
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Keywords | C-C超共役 / ラジカルカチオン / ジカチオン / 縮合芳香環 / 1電子酸化 / シレピン / シラトロピリウムイオン / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
新しい構造と機能をもつ有機分子を、σ骨格とπ電子系との相互作用を機軸とするコンセプトに基づいて設計・合成し、それらの物性を明らかにすることを目的として研究を行ない、本年度は以下のような実績を挙げた。 1. ビシクロオクテン(以下BCOと略記)の二量体のジリチオ化と単体硫黄との反応を用いて、BCOの縮環したチオフェンを、またBCOユニットのスルフイド体への変換を用いてBCOの縮環した1,4-ジチインを、それぞれ合成した。チオフェン誘導体からはラジカルカチオンの発生を確認し、またジチイン誘導体からは安定なラジカルカチオンを単離してX線結晶解析を行なったほか、ジカチオンも発生させ、6π電子系芳香族としての性質をNMRにより確認した。 2. ケイ素上に種々の置換基をもち3個のBCOユニットの縮環したシレピンを合成し、温度可変NMR測定の結果から、平面構造における芳香族性の寄与について明らかにした。さらにケイ素上に立体的にかさ高いメシチル基をもつシレピンからのヒドリド脱離により、新しいケイ素カチオンすなわちシラトロピリウムイオン誘導体を低温、溶液中において発生させることに成功した。 3. BCOユニットが完全に縮環したナフタレンを新たに合成し、これが段階的な1電子酸化によりラジカルカチオン、さらにジカチオンを与えることを明らかにした。また、前年度の研究で合成したBCOユニットの縮環したアントラセンならびにビフェニレンから、一電子酸化によってラジカルカチオン種へと変換し、これらのイオン結晶としての構造をX線結晶解析によって明らかにした。アントラセン誘導体からはジベンゾバレレン誘導体へと変換し、そのカチオンラジカル種のESRを測定したが、溶解度が低いためそれ以上の検討は行なっていない。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] T.Nishinaga: "The Ring Inversion of Silacycloheptatriene and Cycloheptatriene. Comparison of the Aromaticity of Planar and Boat Conformers by NICS." Journal of Physical Organic Chemistry. 11. 475-477 (1998)
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[Publications] T.Nishinaga: "Effects of Substituents on Silicon upon the Ring Inversion of Silepins Annelated with Bicyclo[2.2.2]octene Frameworks." Chemistry Letters. No.3. 269-270 (1998)
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[Publications] T.Nishinaga: "Synthesis and Properties of 1,4-Dimethoxynaphtho[2,3]-annelated Dehydroannulenes." Tetrahedron Letters. 39. 7139-7142 (1998)
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[Publications] T.Nishinaga: "Synthesis and Structural Characterization of Novel Ag(I)Complexes of Tetradehydro 16 annulene Annelated with Bicyclo[2.2.2]octene." Chemical Communications. No.20. 2263-2264 (1998)
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[Publications] A.Matsuura: "Synthesis,Structure and Properties of Naphthalene Fully Annelated with Bicyclo[2.2.2]octene Frameworks." Tetrahedron Letters. 40. 123-126 (1999)