1999 Fiscal Year Annual Research Report
生理活性発現を目的としたファイン金属錯体の分子設計
Project/Area Number |
09304061
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長野 哲雄 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (20111552)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 恒彦 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (50173159)
増野 匡彦 共立薬科大学, 助教授 (90165697)
太田 茂 広島大学, 医学部・総合薬学科, 教授 (60160503)
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Keywords | スーパーオキシド / 一酸化窒素 / 亜鉛イオン / 蛍光プローブ / 活性酸素 / バイオイメージング / 一酸化窒素合成酵素 |
Research Abstract |
本研究においては生体機能を探索することを目的とした金属錯体のデザイン合成が行われた。金属イオンは微量で重要な生理作用を有するにもかかわらず、分子レベルでの解析は十分にはなされてこなかった。また薬理学観点からも金属錯体を医薬品として使用する試みもシスプラチンあるいは生体画像化プローブのGdイオンなど限られた例が知られているだけであった。本研究では交付申請の研究実施計画に記載したように下記の2項目について重点的に検討した。 1.生理活性種一酸化窒素(NO)の生体作用機序の解析研究 NOは免疫系、神経系、循環器系など全く異なる生体部位で、異なる作用を示す。すなわち多様な生理活性を有するユニークな反応種である。その作用機構はグアニレートサイクラーゼ酵素の活性中心にあるポルフィリンに配位することにより情報伝達物質として働いている。今回、第5配位がイミダソール、チオールおよび水素結合型チオールのポルフィリン錯体を合成し、それらのNO錯体の各種スペクトルを測定し、各種関連酵素との相関を調べた。 2.生理活性種としての亜鉛イオンの動的機能解析 亜鉛イオンは生体中に鉄イオンに次いで多量に存在する金属イオンで、近年、神経細胞中に亜鉛ベシクルが存在するとの報告など、その生理機能が注目されている。本研究では亜鉛イオンを培養細胞あるいは生体組織からバイオイメージングとして据える生細胞プローブの開発を目的として行われたもので、昨年度までに開発に成功したACF類を今年度は実用的に使用可能な形に改良した。その結果、感度、特異性、pHに対する安定性、錯体生成速度など、いずれの点のおいても十分に満足できる世界で始めての亜鉛生細胞プローブの開発に成功した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Takanai Inoue: "Synthesis and Evaluation of 1-Position-modified Inositol 1,4,5-Trisphosphate Analogs"Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters. 9. 1697-1702 (1999)
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[Publications] Naoki Umezawa: "Novel Fluorescent Probes for Singlet Oxugen"Angewandte Chemie Int.Ed.. 38. 2899-2901 (1999)
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[Publications] Hirotatsu Kojima: "Fluorescent Indicators for Imaging Nitric Oxide Production"Angewandte Chemie Int. Ed.. 38. 3209-3212 (1999)
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[Publications] Noriyuki Suzuki: "Novel Iron Porphyrin-alkane thiolate Complex with Intramolecular NH・・・S Hydrogen Bond : Synthesis, Spectroscofy and Reactivity"J. Am. Chem. Soc.. 121. 11571-11572 (1999)
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[Publications] Hirotatsu Kojima: "Fluorescent Indicators for Nitric Oxide Based on Rhodamine Chromophore"Tetrahedron Letters. 41. 69-72 (2000)
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[Publications] Tetsuo Nagano: "Practical Methods for Detection of Nitric Oxide"Luminescence. 14. 283-290 (1999)
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[Publications] 小島宏建: "実験医学"羊土社(分担執筆). 946-950 (1999)
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[Publications] 長野哲雄: "現代化学"東京化学同人(分担執筆). 23-30 (1999)