高原子価金属ポリフィリン錯体による人工光合成型物質変換反応

2000 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 09304063
• Research Institution: TOKYO METROPOLITAN UNIVERSITY
• Principal Investigator: 井上 晴夫 東京都立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90087304)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 嶋田 哲也 東京都立大学, 工学研究科, 助手 (50252317) ; 立花 宏 東京都立大学, 工学研究科, 講師 (00163478) ; 白上 努 宮崎大学, 工学部, 助教授 (60235744) ; 高木 慎介 東京都立大学, 工学研究科, 助手 (40281240)
• Keywords: 水の光分解 / ポルフィリン / アルケン / エポキシ化反応 / 酸素化反応 / 金属錯体 / 人工光合成

Research Abstract

研究代表者等が見出した水を電子源、酸素源とする可視光エポキシ化反応について、本年度は前年度までに得られた研究成果を基礎に、反応機構、錯体による水分子の活性化の分子過程に対する理解をより一層深化させ、得られた知見を総合化して、より高効率、高選択な光増感酸素化反応系を確立することを目標に研究展開を図り以下の研究成果を得た。
1)反応の一層の高効率化のための異方性反応場の開発
従来、用いてきた電子受容体の塩化白金酸は犠牲試剤であり循環再使用は極めて困難であった。一層の高効率反応を達成するために循環使用が可能となる電子受容体系を開発するとともに異方的反応場中での光電子移動の展開を図るために、層状半導体の層空間における光反応場の構築を試みた。都立大学で独自に開発した新規多フッ素化カチオン性界面活性剤を層状半導体に取り込ませることにより界面活性剤の二分子膜構造を有する異方的反応場を構築することに成功した。また金属ポルフィリン類を層空間中に初めて取り込ませることに成功した。可視光照射により実際に金属ポルフィリンから層状半導体への電子注入が進行し、還元剤添加下では水素発生が誘起されることも見い出した。
2)不斉エポキシ化基反応への展開
水を電子源とするエポキシ化反応の一層の展開として不斉環境における光エポキシ化反応への展開を試みた。光増感剤であるRuポルフィリンのメソ位フェニル基に不斉置換基を導入し金属オキソ錯体の金属-酸素二重結合周囲に不斉反応場を構築した。ビナフチル置換基、アトロパ酸置換基を有するRuポルフィリン誘導体を合成し塩化白金酸を電子受容体、スチレンをモデル基質として光エポキシ化反応を試みた。スチレンを基質に用いた場合には、通常均一溶媒中では増感剤の分解反応が優先するが、界面活性剤存在下、二液層系では効率良く反応が進行することを見い出した。

Research Products

• [Publications] L.Biczok,T.Berces,T.Yatsuhashi,H.Tachibana,and H.Inoue,: "The Role of Intersystem Crossing in the Deactivation of the Singler Excited Aminofluorenones."Phys.Chem.Chem Phys. 2. 980-985 (2001)
• [Publications] S.Takagi,T.Shjimada,T.Yui,and H.Inoue,: "High Density Adsorption of Porphrins onto Clay Layer without Aggregation Characterization of Smectite-Cationic Porphyrin Complex,"Chem.Lett.. 128-129 (2001)
• [Publications] M.Iyoda,N.Nkamura,M.Todaka,S.Ohtsu,K.Hara,Y.Kuwatani,M.Yoshida,H.Matsuyama,M.Sugita,H.Tachibana,and H.Inoue,: "Novel Synthesis of Hexaaryl [3] radialenes via Dibromo [3] dendralenes."Tetrahedron Lett.. 41. 7059-7064 (2000)
• [Publications] T.Shinoda,T.Nishiwaki,and H.Inoue,: "Decomposition of Poly (4-hydroxystyrene sulfone) in Alkaline Aqueous Solution."J.Polymer Sci : A : Polymer Chem.. 38. 2760-2766 (2000)
• [Publications] Y.Aikawa,T.Shimada,H.Tachibana,and H.Inoue,: "Photophysical Properties of Fluorenones with Chiral Substituents and their Asymmetric Recognition through Intermolecular Hydrogen Bonding Interactions in the Excited States."J.Photosci.. 6. 165-170 (2000)
• [Publications] R.Matsuoka,T.Yui,R.Sasai,K.Takagi,and H.Inoue,: "Enghanced Aggregation of Tin (IV) porphyrins in a Polyfluorinated Surfactant-Clay Hybrid Environment."Mol.Cryst.Liq.Cryst.. 341. 333-338 (2000)