1998 Fiscal Year Annual Research Report
「水素原子」をメディエータとする半導体物質接合界面構造制御
Project/Area Number |
09305002
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
清水 勇 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (40016522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 利夫 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助手 (80233956)
フォートマン チャールズ 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (70293066)
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Keywords | 原子状水素 / 構造制御 / 高移動度 / VHFプラズマ / SiF_4 / 太陽電池 |
Research Abstract |
本研究では、構造制御のメディエータとして有効な「水素原子」を積極的に利用し、ガラスなどの廉価な基板上に、高速で高移動度を有する高品質半導体薄膜を形成する技術を開発することを目的とした。 昨年度は2反応容器からなるVHFプラズマCVD装置を設計・試作し、原料ガスとしてSiF_4を用いることで400℃以下の低温で結晶性の良い多結晶シリコン薄膜が得られることを確認した。本年度はこの装置を用いて、多結晶シリコン膜のさらなる高品質化とそのデバイス特性について検討し、水素原子の役割について調べた。 その結果、昨年までマイクロ波プラズマCVDで得られていた結果と同様、VHFプラズマCVD法によっても原料ガス流量比SiF_4/H_2を変えることで、薄膜の構造をランダム配向から(220)、(400)配向と制御できることが分かった。水素流量を増やすことで、低温でも結晶性の高い膜が得られ、150℃でも結晶化率83%の多結晶シリコンが得られた。また、微結晶化するものの、50℃の低温でも62%の良好な結晶化率の膜が得られた。さらに、この反応系に極少量(<2sccm:3%)のSiH_4を混合することで、堆積反応を活性化させ、1nm/sを越える成長も実現できることがわかった。高速堆積膜ではデバイス応用に十分な伝導特性がまだ得られていないが、今後の最適化により、高品質・高速成長の目的を達成する目処がついた。 これらの膜の伝導特性について、Pドープ膜を用いてHall効果を測定した結果、(220)配向膜で、従来の水素大希釈SiH_4で作製した微結晶シリコンよりも数倍大きな移動度6cm^2/Vsが得られた。さらに、(400)配向膜では電子濃度が10^<20>/cm^3と高いにもかかわらず、10cm^2/Vsの高移動度が実現できた。(400)配向膜には粒界にダングリングボンドが残り、これがミッドギャップ準位を形成して伝導特性を悪くしていると見られる。この点については、膜成長過程で10-100nmの膜堆積と水素処理を繰り返す「水素パッシベーション処理」によってイントリンジック膜の暗・光伝導特性が改善されることを確認しており、「水素原子処理」によって高品質(400)膜が作製できることが分かった。高水素流量条件で作製した(220)配向膜でn/i/p型の太陽電池を試作したところ最初の試作でエネルギー変換効率6.2%を得ることが出来た。特筆すべき点は、2μmという薄い光活性層膜厚にもかかわらず、光トラップを使うことで約30mA/cm^2と高い短絡電流が得られたことであり、この材料力塙性能薄膜太陽電池材料として非常に有望であることを示せた。 以上、フッ化物原料を使い、水素原子との反応を制御することで多結晶シリコン薄膜の構造と物性を制御する技術を開発した。構造を(220)配向に制御した膜が太陽電池デバイスとして有望であること、水素パッシベーションを行った(400)配向膜が高移動度デバイス材料として潜在的な可能性を持つことが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] K.Nakahata,A.Miida,T.Kamiya,Y.Maeda,C.M.Fortmann,I.Shimizu: "Control of Orientation for Polycrystalline Silicon Thin Films Fabricated from Fluorinated Source Gas" Jpn.J.Appl.Phys.Lett.37. L1026-L1029 (1998)
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[Publications] T.Kamiya,K.Nakahata,A.Miida,C.M.Fortmann,I.Shimizu: "Control of Orientation from Random to(220)or(400)in Polycrystalline Silicon Films" Thin Solid Films. (in press). (1998)
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[Publications] K.Nakahata,T.Kamiya,A.Miida,C.M.Fortmann,I.Shimizu: "Carrier Transport,Structure and Orientation in Polycrystalline Silicon on Glass" Thin Solid Films. (in press). (1998)
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[Publications] T.Kamiya,K.Nakahata,K.Ro,J.Tohti,C.M.Fortmann,I.Shimizu: "Structure control of polycrystalline silicon films on glass substrates and their properties" Electroceramics in Japan II. (to be published). (1998)