1997 Fiscal Year Annual Research Report
金属の微細組織の非均質構造を考慮したメゾスコピック破壊力学の構築
Project/Area Number |
09305011
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
岡村 弘之 東京理科大学, 理工学部, 教授 (00010679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中曽根 祐司 東京理科大学, 工学部, 助教授 (10266918)
陳 玳こう 東京理科大学, 工学部, 教授 (90217266)
金子 堅司 東京理科大学, 工学部, 教授 (40016803)
町田 賢司 東京理科大学, 理工学部, 講師 (50089380)
菊池 正紀 東京理科大学, 理工学部, 教授 (90107540)
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Keywords | 破面解析 / 損傷解析 / 画像処理 / パターンマッチング / ひずみ時効 / 粘弾性 / 塑性応力特異性 / 疲労破壊 |
Research Abstract |
岡村はレーザー顕微鏡および走査型電子顕微鏡の破面画像より,3次元破面画像を構成するシステムを開発,改良した. 菊池は破面解析装置と,岡村の開発した三次元破面解析ソフトを用いて、SiC粒子強化アルミニウム合金の破面を解析し、破壊時のディンプル径を測定した。応力三軸度により、臨界ボイド率が変化することが確かめられた。この結果を用いて軸対称有限要素法により損傷解析を行った.巨視的な応力ひずみ関係は実験と良く一致した。 町田はスペックル法による破壊の微視的機構測定のために、顕微鏡拡大視野内での変位場の測定を行った。相互相関関数に基づく二次元フーリエ変換パターンマッチング法により変位解析を行った。パターンマッチング法は原理的には表面の粗さや画像の倍率に依存せず変位が測定できるが、高倍率または表面荒さが小さくなると精度が低下した。低倍率の場合、スペックルも鮮明でありノイズの影響も小さいが、倍率が上がるにつれノイズが増しスペックル画像も不鮮明になることがわかった。 金子は低炭素鋼(S25C)と低合金鋼(SCM435鋼)に種々の熱処理を施し、微視組織を変化させた試験片を用意し,粘性とひずみ時効特性を実験的に調べた結果,以下の点が解明され,時効を考慮した粘塑性構成式の検討を行った. (1)2〜3倍程度の結晶粒径の差は粘性やひずみ時効特性にほとんど影響しない.(S25C) (2)加工硬化が大きい焼きならし組織では焼き入れ焼き戻し組織の場合と比べて粘性と時効特性は2倍も大きい.運動転位の割合が大きいと思われることが原因と考えられる.また,熱処理条件によっては,同一材料でも変形抵抗のひずみ速度逆依存性を示す場合があることを確認した. 陳は,接合角部先端メゾ領域の変形挙動について,塑性変形による応力特異性の緩和効果を考慮するために,切欠きの問題を取り上げ,切欠き先端領域をくさび状に分割し,各分割要素の表面力と表面変位を結ぶ剛性マトリックスに基づく塑性応力特異性の解析手法を提案し,両縁応力自由,両縁変位固定,一方応力自由・一方変位固定のV形切欠き先端の問題に適用して,その有効性を確認した.また,解析結果に基づいて,ひずみ硬化指数nによる影響について検討を行った.その結果,一般的にはnの値が大きくなるほど,塑性変形による応力の特異性の指数は,弾性のそれより小さいが,その例外もあることが明らかにされた. 中曽根はSEMサーボ疲労試験機により、先端材料として注目されている球状黒鉛鋳鉄および金属間化合物Ti-49at%Alの疲労破壊過程のその場観察を行った。その結果、球状黒鉛鋳鉄では、大気中に比べて真空中の疲労強度が向上することが明らかとなった。また、試験片表面の3次元観察などにより、静的引張り強度の80%以上の大きさの疲労荷重を負荷した高応力領域では、疲労荷重の最初の負荷サイクルで結晶粒内や粒界、球状黒鉛の変形能の違いにより試験片表面の荒れが著しくなっていることが観察された。さらに、この時すでに球状黒鉛と母材(鋼)との間には剥離が起こり、この剥離が隣接する複数の球状黒鉛をまたいで進展し、50μm程度の微小なき裂状欠陥が発生していることも明らかとなった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Mori, K.Tanaka, Y.Nakasone, J.Huang and M.Taya: "Creep of a Metal Matrix Composite with or without Diffusion and Sliding on Matrix / Reinforcement Interfaces" Key Eng.Mats.127-131. 1145-1152 (1997)
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[Publications] T.Mori, Y.Nakasone, M.Taya, K.Wakashima: "Steady-State Creep Rate of a Composite : Two-Dimensional Analysis" Phil.Mag.Letts.75. 359-365 (1997)