1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09305014
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Research Institution | THE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
田中 正人 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (10011131)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 十太郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (20114514)
福島 義明 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (20011075)
鈴木 健司 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (50251351)
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Keywords | 流体潤滑 / 二相流 / すべり軸受 / キャビテーション / 可視下 / 軸方向油膜破断 |
Research Abstract |
超高速流体潤滑油膜の気液二相化現象を解明することを目的として,油膜に作用する遠心力を考慮して新たに構築した理論モデルの実験的な検証を視覚的に行うために設計・製作した特殊ガラス製試験軸受を最高回転速度10万rpmの超高速スピンドル試験機に取り付け,様々な実験条件の下で油膜の挙動を観察し、油膜の気液二相化現象の様子をデジタルハイスピードカメラに記録して解析し,以下の知見を得た。 1.軸が低速回転の場合には油膜は無色透明であったが,高速回転になると軸受端近傍の全円周にわたって油膜が白濁し始める現象が観察された。これは油膜が軸方向に破断したことをしめしており,軸方向油膜破断という理論概念の正当化を実験的に証明することができた。 2.定常回転時には白濁部の境界はほとんど移動せず,軸方向油膜破断が安定な現象であることが明らかになった。 3.白濁はある軸回転速度において突然発生した。これは,軸回転速度の増加とともに連続的に軸方向油膜破断領域が拡大していく現行の理論モデルとは異なる点である。 4.白濁の原因は,潤滑油中に溶け込んでいた空気の析出によるものか,軸受端からの大気中の空気の侵入によるものかのいずれかである。現行の理論モデルでは,前者のみを考慮しており,今後,後者をも考慮して理論モデルを修正する必要がある。これにより,前記3.の油膜破断開始時における理論予測値と実験で観察された現象との不整合を無くすることができると考えられる。 5.軸回転速度の増加とともに油膜破断領域は拡大していった。また,給油圧力が低いほど油膜破断現象は発生しやすかった。これら定性的傾向は理論予測値と良く一致している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 畠中清史、田中正人、鈴木健司: "遠心力の作用を考慮した修正レイノルズ方程式の導出と浮動ブッシュ軸受への適用"日本機械学会論文集(C編). 第65巻・第636号. 3395-4000 (1999)
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[Publications] 畠中清史、田中正人、鈴木健司: "軸方向油膜破断を生じた超高速すべり軸受油膜の動特性解析と浮動ブッシュ軸受で支えられたロータの安定性解析への適用"